集中する瞑想と気づきのマインドフルネスで、日常の自動操縦から抜け出し「今、この瞬間」を意識して心と体を整える方法
「今、この瞬間」の気づきのために瞑想を通して集中することにより、自分の思考や状態を観察できるようになります。繰り返される毎日に飽き飽きしていたり、このままでいいのだろうかという漠然とした不安を感じていたり、不満はないけど満たされないというかたは多いです。不安やモヤモヤの原因に気づいて受け入れることから始めてみませんか。今回は、集中する瞑想と気づくマインドフルネスについて考えていこうと思います。
自動操縦状態で「今、この瞬間」を生きれていない
毎日自宅と職場の往復で刺激がない、仕事に張りがないなど、変わり映えしない日々にうんざりしていませんか。また、始めたばかりのころは難しかった仕事も慣れてくると簡単にこなせるようになって、考えなくてもできるようになりますよね。これは自動操縦状態といい、自分の行動を認識せずに行う心理状態をいいます。定義は以下の通りです。
【意識的な意図や、現在の瞬間の感覚的知覚の認識なしに行動する心の状態】
【わたしたちが日常生活のなかで「何気なく」「無意識的に」「機械的に」振舞ってしまうことがあるように、思考や記憶、感情、計画など、なんらかのことに捉われ無自覚に行動している「心ここにあらず」な状態を指す】
自動操縦状態にはたとえば、何気なくInstagramやXなどのSNSを見始めて気づいたら数時間経過していたり、思い通りにいかないときにカッとなって怒鳴ったりなどの行動が挙げられます。
過去と未来に意識を向けがちなわたしたち
わたしたちは過去の後悔や未来への不安について考える時間がとても多いです。「あのときこうしていればよかった」「違う選択をしていれば今はもっと違う人生を歩んでいたはずだ」などと考え出すときりがありません。また、これからの未来についても漠然とした不安が先行して、なにをするにも上手くいかないのではないかと自分に行動制限をかけてしまうことに。過去と未来にとらわれた状態で「今、この瞬間」を生きているといえるのでしょうか。
どれほど素晴らしくかけがえのない時間を過ごしても、心が「今、この瞬間」にいないのだとしたらそれは、過ごしていないのと同じなのではないかと思います。そのときの素晴らしい体験や自分が感じた気持ち、たとえば季節や空の色、大切なひとの表情。「今、この瞬間」を生きていれば、どれだけ時が経とうとも鮮明に記憶に深く刻まれるのではないでしょうか。
自動操縦状態のメリットとデメリット
自動操縦状態は本能的に活動している状態のため、食事をしているときや読書や旅行などの趣味を楽しんでいるときは満喫できるというメリットがあります。歩いたり車を運転したりなど、日常的に行っている活動は特に意識をせずとも自然にできますよね。一方で、自動操縦状態は本能のまま活動していることになるため、物事を客観的にとらえられずに感情のままに暴言を吐いてしまったり、冷静に状況を判断できずに適切な行動ができなかったりなどのデメリットがあります。また、落ち込む出来事があった場合には焦りや不安などネガティブな感情が湧いてきますが、このような状況で自動操縦状態になるとネガティブ思考から抜け出せなくなる悪循環にも陥りやすくなるのです。
現代人の悩み
スマートフォンやタブレット、パソコンなどですぐに情報を得られる時代。便利になった半面、脳疲労を感じるかたは増えているといいます。通勤途中や休憩時間、就寝時に眠たくなるまでSNS・動画の視聴など、無意識にスマートフォンへ手が伸びることってありますよね。自分が欲しい情報だけではなく必要のないものも飛び込んでくるため、それらにとらわれて心身ともに疲れきってしまうこともあるでしょう。
脳の容量はもともと決まっており、一度に取り込める情報量や、情報を処理する能力には限りがあります。朝から晩までスマートフォンを使い続ける行為は、脳を1日中働かせているのと同じです。このような状態が続くといくら休んでも疲労回復ができません。実際に情報過多で脳疲労に陥ると深く考える機能が低下するため、感情のコントロールがうまくできずにイライラしたり、集中力が低下したりなどの影響も生じてしまうのです。
心の豊かさ
わたしたちは目や耳から入ってくる情報に振り回されやすい性質があります。SNSを見ていると、自分とは異なる環境で過ごすひとを羨ましいと思ったり、自分と比べて悲観的になったりなど、1日のうちに何度も感情が揺れ動くこともあるでしょう。不自由はないのに何故か心は満たされない、得体のしれない不安を感じている、モヤモヤした状態は居心地が悪いですよね。
まだスマートフォンが無かった時代はどうだったのでしょう。会ったことのないひとの生活をSNSを通して見ることも、スマートフォンを見ながら下を向いて歩くこともありませんでした。夏になると、毎年夏休みに農家だった祖母の家に泊まりに行ったときのことを思い出します。祖母は早朝から畑仕事をして、幼かったわたしたちのために、お豆腐とわかめのお味噌汁、目玉焼きと炊き立ての白ご飯、味付け海苔を必ず用意してくれていました。お仏壇に手を合わせ、また家事をこなし、落ち着いたら畳の部屋でわたしたちの話に耳を傾けてくれました。でんぐり返しを祖母の横で練習しながらうまくできずに笑いあったことは今でも鮮明に思い出せるのです。淡々と目の前のことに集中する祖母の後ろ姿はいつも凛としていました。働くときはしっかり働き、休むときはゆっくりと休む。この切り替えがいまのわたしたちには足りていないのかもしれません。
なにも考えない時間を作る「集中する瞑想」
みなさんは、なにも考えないでぼーっとする時間はありますか。
瞑想とは以下のように明示されています。
- 心を静めて無心になること
- なにも考えずにリラックスすること
- 心を静めて神に祈ったり、なにかに心を集中させたりすること
- 目を閉じて深く静かに思いをめぐらせること
脳の緊張をやわらげてリラックスさせることが瞑想の目的です。集中する瞑想は、余計な思考を取り除き、ありのままの自分の心と体に意識を向ける「気づくマインドフルネス」な状態になるための手段なのです。
「気づく」マインドフルネス
過去に思いを馳せても時間は二度と戻らない。そして先の未来を見ることもできません。今の自分にできることは「今、この瞬間」を生きること。自分の心と体の状態に気づいて最高の体験をすること。マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態でただ観ること」と定義されています。目の前で起きていることや、「今、この瞬間」ありのままの自分の心と体に意識を向ける。
心も体も常に同じ状態を保てるわけではありません。喜怒哀楽に変化する感情に振り回されるのではなく、その瞬間の自分の心の状態をありのままに認めて受け止めてしまいましょう。自分を客観的に観られるようになると、自分がどんなときに快、不快を感じるのかが把握できるようになります。マインドフルネスでいられる時間が少しずつ増えていくと、心が安定したニュートラルな状態で安穏な日々を送れるようになっていくのです。
集中する瞑想で「今、この瞬間」に立ち戻るときを
今回は、集中する瞑想と気づくマインドフルネスについてご紹介しました。仕事や学業、家事に子育て、目まぐるしい日々を送っておられるかと思います。少し手が空いたとき、いつも触ってしまうスマートフォンは横にそっと置いておきましょ。電車やバスから見える景色を見ながら心を静かに集中させる。残暑が厳しい時期ですが公園のベンチに座って虫の音色を聞いてみたり、日が沈む空を眺めたりとなにかに集中する瞑想をしてみませんか。
ゆっくりと深呼吸しているうちに秋の気配を感じられるかもしれません。心と体が少しでも心地よいと感じられたらきっとそれは「今、この瞬間」をしっかりと生きているマインドフルネスです。最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。