横隔膜呼吸で育む、心と身体の健やかな健康と日常に広がる深い安らぎを導く実践的なセルフケアの知恵
呼吸はわたしたちの心と体の健康に密接に関わっています。わたしたちは1日におよそ2万回もの呼吸を絶えず繰り返しています。当たり前に行っている自分の呼吸を意識する機会はあまりないかもしれません。みなさんは心地よい呼吸はできているでしょうか。
不安やストレスを感じたり緊張したりしているとき、呼吸は浅く速くなりがちです。なんとなく息苦しい状態が続いていると体内は酸素不足になり、集中力の低下や自律神経の乱れなどを引き起こします。今回は横隔膜の役割をはじめ、横隔膜呼吸の効果や方法などもご紹介します。
横隔膜呼吸の基本とその役割
呼吸にとても重要な役割を果たしているのが、胸郭と腹腔を隔てる筋肉組織である横隔膜です。横隔膜はドーム状の形をしており、胸をとりまく骨格の下部にある肋骨についています。横隔膜呼吸は腹式呼吸ともいい、わたしたち人間にとって理想的な呼吸とされています。
息を吸い込むと横隔膜は収縮してフラットな状態になり、吐き出すと横隔膜は元の位置に戻ります。横隔膜が上下することにより胸腔内の圧力が変わって、肺が膨らんだり縮んだりして呼吸ができるという仕組みです。横隔膜の働きが正常に行われていない場合、息切れや呼吸困難などが現れ日常生活に支障が出ます。横隔膜を鍛えると呼吸の効率が上がり酸素の取り込みがスムーズになり、全身の血流改善に繋がるのです。
横隔膜呼吸と胸式呼吸の違い
横隔膜呼吸と胸式呼吸の違いは、空気を取り込む仕組みです。横隔膜が上下する働きによって空気を取り込むのが横隔膜呼吸でした。横隔膜は自律神経とも深く関わっているため、意識して動かすことで副交感神経を優位にし心と体をリラックスした状態へ導きます。
一方で胸式呼吸は、肺の周りの筋肉を使って肋骨を広げ横隔膜から上のスペースに空気を取り込みます。胸式呼吸を行うと交感神経が優位に働き、頑張るぞと意欲的になったり体も活発になるのです。朝目が覚めたときは胸式呼吸で自分を活気づけ、夜眠る前には腹式呼吸で心と体を落ち着かせる。どちらも大切な呼吸法なのですね。
横隔膜呼吸の効果
酸素を全身に届けるようなイメージで横隔膜を意識的に使って深くゆっくりと息を吸い込むと、嬉しい効果がたくさん!横隔膜呼吸の効果を一緒に見ていきましょう。
呼吸機能が改善する
1つ目の横隔膜呼吸の効果は呼吸機能の改善です。わたしたちはなんと、20代から呼吸機能の老化が少しずつ始まるそうです。そして高齢になると呼吸筋の衰えにより肺の収縮運動をする力が低下し、換気量も十分に得られなくなります。横隔膜呼吸を行うと肺活量や最大呼気流量の向上に繋がり、息切れの軽減にも役立ちます。
ストレスを軽減しリラックスできる
2つ目の効果はストレス軽減とリラックス効果です。深くゆっくりとした呼吸は、心と体が落ち着いているときに働く副交感神経を刺激します。夜眠る前に横隔膜呼吸を行うとスムーズな入眠をサポートしてくれるため、睡眠の悩みを抱えている方におすすめです。
姿勢が良くなる
3つ目の効果は姿勢改善です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、猫背や首が前に出るストレートネックになる方が増えています。猫背の状態では胸郭を圧迫し、深い呼吸ができず息苦しくなります。横隔膜呼吸を行うことで胸を開き正しい姿勢へ導いてくれるのです
呼吸機能をチェックしてみよう
横隔膜が正しく動いているか簡単チェックができます。両手を左右の肋骨の下あたりに添えてゆっくりと呼吸をします。息を吸い込んだときに肋骨が広がる感覚がありますか?横隔膜が動いているなら手が押し返される感覚があるはずです。ついでに、肋骨の間を軽くマッサージしてみましょう。深い呼吸をサポートしてくれます。
横隔膜呼吸の方法
ここからは横隔膜呼吸の方法をご紹介します。横隔膜呼吸に慣れていないかたが急に長い時間行うと、心と体にいいどころか逆に負担を感じてしまいます。まずは短い時間から、自分が心地よいと感じる範囲でチャレンジしていくことが大切です。
- リラックスした状態で座り背筋を伸ばします。まずは口から息をふーっと吐き切りましょう。
- お腹に手を当てて鼻からゆっくりと息を吸い込みます。おへその下に空気を取り込むイメージでお腹を膨らませましょう。このとき背中が反らないように注意します。
- 吸い込んだ時間の倍の時間をかけ、ゆっくりと口から息を吐き出します。お腹をへこませながら、からだの中にある悪いものを出し切るイメージで息を吐き切ることが大切です。
横隔膜呼吸を行いながら自分の心と体に向き合う時間を作ってみよう
今回は横隔膜の役割をはじめ、横隔膜呼吸を行うと得られる効果や方法などもご紹介しました。呼吸はわたしたちの心と体の健康に大きく関わっています。
浅い呼吸になってるな、少し息苦しいななどと気づいたら、横隔膜呼吸でゆっくりと深い呼吸を意識して行ってみましょう。横隔膜呼吸を行うと副交感神経が刺激されて、心と体が落ち着きます。血流や姿勢も良くなり、日々の暮らしがきっとよりよいものになるでしょう。最初は難しいかもしれませんが、夜眠る前に横隔膜呼吸で心と体をリラックスさせる習慣を作ってみませんか。自分のペースで穏やかな気持ちで、呼吸機能の向上を目指したいですね。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。