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瞑想とマインドフルネス

新年の御祈祷とご利益

【ご利益】新年の御祈祷

新しい年を迎えた時、皆さんは何を思い、何を願うでしょうか。昨年1年間が無事に終わったことに感謝し、新年も家族の健康と幸せを願う方が多いようです。また、学業、仕事や恋愛などがうまくいきますようにとお祈りする方もいらっしゃるでしょう。

「今年も良い1年になりますように」と誰もが願う新しい年を、護摩修法という方法で御祈祷するお勤めがあることをご存知でしょうか。

今回は、瞑想アプリGASSHOにあるコンテンツの1つ【ご利益】で視聴可能な動画をご紹介します。世界遺産である高野山金剛三昧院で行われている新年の御祈祷である「護摩祈祷」です。

また、「ご利益」という言葉についても改めて考えてみました。

「ご利益」とは

ご利益とは、「ごりやく」と読みます。「ご利益のある神社に行きたい」「縁結びにご利益のあるお守りです」などという会話をしたり聞いたりした経験はありませんか。

そもそも、ご利益とは何なのでしょう。

ご利益という言葉を辞書で引くと、「神仏が人間に与える恩恵、幸運」とされています。神様や仏様にお参りすることで受けられる恵や功徳をご利益といいます。

ご利益なんて本当にあるのだろうかと考える方もきっといらっしゃるでしょう。もしかしたら見方をほんの少し変えるだけで、幸せと思える功徳(ご利益)があなたの周りにたくさんあるかもしれません。

幸せを見つける力

皆さんは、どんなことに幸せを感じるでしょうか。

「幸せ」という言葉を調べてみると、以下のように説明されています。

1. 運が良いこと。また、そのさま。幸福。幸運。
2. その人にとって望ましいこと。不満がないこと。
3. 巡り合わせ。
4. 運がよくなること。うまい具合にいくこと。
5. 事の次第。

    人によって幸せを感じる瞬間は違いますが、美味しい物を食べているときや、お布団でゆっくり眠れるときなど、分かる!!と共感できるところもあるでしょう。

    また、細かすぎる例えになりますが、残業でいつもより少し遅い時間にスーパーに行ったらお惣菜に半額シールが貼られてあったり、商業施設の入口に一番近い駐車場がちょうど空いて停められたりなど、「ヨシッ」と小さくガッツポーズしたくなるような幸せもあります。

    私はこのような些細なことも、立派なご利益だと感じています。小さな幸せを感じられるようになると、あちらこちらに良い巡り合わせが発見できる気がしているのです。

    感謝の心

    新しい年を迎えたときに、昨年が無事に終わったことに感謝し、新年の家族の健康と幸せを祈願する方も多いです。1年ではなく、「今日という1日」に置き換えて考えてみるとどうでしょうか。

    今日1日が無事に終わったことに感謝をし、明日も家族が健康で無事故でいられますようにと祈願するのです。また、「今、この瞬間」に集中し、自分が息をしていること、聞こえてくる鳥のさえずりやお日様のエネルギーなどに対する感謝の心もあります。

    感謝の心を大切にすることで、幸せホルモンと呼ばれている脳内物質であるセロトニンやオキシトシンの分泌が増加すると明らかになっています。

    真言宗に伝わる護摩祈祷

    護摩とは、1,200年以上前に弘法大師空海によって伝えられた真言密教の御祈祷の方法です。供物を火に投じて祈願するという意味のサンスクリット語「homa(ホーマ)」が語源となっています。

    不動明王をご本尊としてその前に壇を設け、願いが書かれた護摩木(ごまき)や供物を焚かれた火の中に投じて御祈祷を行います。

    火は不動明王の知恵を表しており、人間の煩悩を消し滅ぼすという意味合いがあるとされているのです。

    護摩修法の種類

    護摩修法で御祈祷する内容をご紹介します。

    ・息災法(そくさいほう)
    罪を滅ぼし災害を除くことを祈ります。
    洪水、地震、火事などの災害からの無事や、無病息災、家内安全、身体健全など。

    ・増益法(ぞうやくほう)
    一般的な幸福や修行によって増幅される「徳」を祈ります。
    福徳繁栄、長寿祈願、良縁成就など。

    ・敬愛法(けいあいほう)
    諸仏を祈念、※加持して他を敬い愛し、平和円満を祈ります。
    良縁成就、身体健全、安産祈願など。

    ・降伏法(こうふくほう)
    災害の打破や自己・他人の煩悩を打ち破るために祈ります。
    悪霊退散、病人霊障など。

    ・鉤召法(こうちょうほう) 
    諸尊、善人、自分を愛するものを召集するために祈ります。

    地震や洪水などの災害という規模が大きなものから、長寿祈願や良縁成就などの個人的なものまで祈願してくださっていることが分かります。

    ※加持・・・行者が印(いん)を結び真言を唱えて仏の助け・保護を祈り、病気や災難を除くこと。

    「新年の御祈祷」の動画を一部ご紹介

    世界遺産である高野山金剛三昧院の護摩堂で行われる新年の御祈祷の様子をご紹介します。

    ひと時も目を離せないような状況のなか、ご住職が護摩木や深い緑色をした葉を投じていますが、それだけではなく、燃え上がる炎に向けて、他にも何かを投げ入れたり注いだりしているように見えます。

    投じているのは、五穀、五香や香油です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

    五穀とは

    供養として投じる五穀とは、米・麦・あわ・きび・豆です。また五穀は、以下の5つの煩悩を表しているといいます。

    ・執着する心
    ・怒りの心
    ・愚かさ
    ・自惚れる心
    ・うたがいの心

    ご本尊である不動明王へのご供養の御祈祷だけではありません。5つの煩悩が焼き尽くされることで、人々の願いが清らかなものとなり、成就するといわれています。

    御祈祷の動画を視聴しながら、煩悩が焼き尽くされていると想像すると、とてもありがたい気持ちになります。

    五香について

    五香とは、仏教に由来する言葉です。最高の悟りを開いた人が見られる5つの功徳を香に例えた言葉とされています。

    ・栴檀香(せんだんこう)・・・白檀(サンダルウッド)に似たような高貴な香り。
    ・沈香(じんこう)・・・甘い、酸味、辛み、苦み、塩辛み、が複雑に絡み合った香りと表現される。
    ・丁子香(ちょうじこう)・・・別名「クローブ」  香辛料として広く使用される。
    ・鬱金香(うこんこう)・・・英名「ターメリック」 香りはほとんどない。
    ・竜脳香(りゅうのうこう)・・・樟脳(しょうのう)と香りが似ている。樟脳よりもやさしい香り。

    これらの香りに加えて、香油も注がれているとは、護摩祈祷を行っているお堂では一体どんな香りがしているのでしょう。気になって仕方がありません…!!

    違う視点で動画を視聴してみる

    中には、パチパチと燃える音を聞いていると、心地よいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

    ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)という言葉をご存知でしょうか。自立的感覚絶頂反応といって、人が聴覚や視覚への刺激によって感じる心地よいと感じたりゾクゾクしたりする反応のことを指します。

    咀嚼音、切ったり混ぜたりなど調理の時に出る音、雨や風などの自然音など、種類は様々です。ASMRは、ストレスが解消されたり、すぐに入眠できたりなどの効果を感じられるといいます。目を閉じて、聞こえてくる色々な御祈祷の音に耳を傾けてみませんか。

    まとめ

    今回は、瞑想アプリGASSHOのコンテンツの1つである【ご利益】から、新年の御祈祷の動画についてご紹介しました。

    金剛三昧院で行われている新年の御祈祷の様子を見ながら、昨年への感謝を伝え、新しい年が素晴しい1年になることを祈願するお正月があってもよいのではないでしょうか。

    護摩の御祈祷についてそれぞれの意味を知ると、さらに見応えのある動画だと感じられます。願いが書かれた護摩木と一緒に投じられている五穀は、以下の5つを表しています。

    ・執着する心
    ・怒りの心
    ・愚かさ
    ・自惚れる心
    ・うたがいの心

    自分に起きた嫌な出来事や、モヤモヤした気持ちなども、画面の向こうで燃え上がる炎の中で燃やしてしまうイメージで、見つめてみましょう。

    もし、ほんの少しでもスッキリした気持ちになれたのだとしたら、これも立派なご利益ではないでしょうか。

    最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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