セルフコンパッション瞑想で心を穏やかに|メンタルレジリエンスを高め、ストレスを和らげる方法

心の回復力を高めるセルフコンパッション
セルフコンパッションという言葉を耳にしたことはありますか。セルフコンパッションとは誰かを思いやるように自分を大切に思うことです。
SNSではさまざまな情報が絶え間なく飛び交い、見なくていいものまで目に入ってきます。気持ちが落ち込んでいるときに見てしまうと、まったく知らない誰かの投稿を見て自分と比べてしまったり、自分はダメだと低く評価してしまったり。心が疲弊するとストレスが溜まり、チカラが湧かない、感情のコントロールがうまくできないなどの状態になってしまいます。
セルフコンパッションを鍛えると自己肯定感が向上します。また落ち込むことがあったときに、自分のチカラで心を回復させて立て直す効果があるとわかっているのです。今回はセルフコンパッションの大切な要素やセルフコンパッションを高める方法などもご紹介します。
セルフコンパッションとは
セルフコンパッションとは自分への慈しみや思いやりという意味です。家族や友人、動物、自然など、この世に生きているすべてのものを思いやるように自分を大切に思うこと。何が起こっても前向きでいられるための方法で、心の健康と幸せに感じる心を育む手段とされています。
大切な3つの要素
セルフコンパッションには大切な3つの要素があります。
1.自分へのやさしさ(Self-kindness)
大切な友人が困っているときに、駆けつけて話を聞いたり励ましたりするように、自分のことを大切な友人のひとりと考えます。
後悔するような出来事があったときや、自分の短所に囚われてしまったときに、マイナスに考えたり自分はダメだと落ち込んだりせずに自分のことをやさしく思いやるのです。「あなただったら大丈夫よ。」「大丈夫よ、なんとかなるから。」と自分自身に声をかけます。
また、辛いことや悲しいことがあったときには「辛かったね、悲しかったね」と自分で自分を優しく包み込んであげる。自分へのやさしさは、自分をありのままに認めて尊重する”自己肯定感”を向上させます。
2.マインドフルネス(Mindfulness)
マインドフルネスは「今、この瞬間」自分の心と体の状態に意識を向け、評価をせずにありのままに受け入れることです。ネガティブな感情もポジティブな感情もどちらもありのままに受け入れます。悲しい気持ちや辛い気持ちを見て見ぬ振りをするのではなく、しっかりとぎゅっと受け止めます。
ハッピーで心がホカホカするときも、もちろん心の底から素直に子どものように喜び受け止めるのです。ありのままの自分の思考や感情に気づいて受けとめてあげることで、「わたしはわたしのままでいいんだ」と思えるようになります。
3.共通の人間性(Common humanity)
仕事や家庭、学校生活など生きていたら悩みは尽きないもの。苦しくて立ち止まることもあるでしょう。このようなとき「どうして自分だけがこんな目に合わないといけないんだ。」と視野が狭くなり自分だけの世界に意識が向きがちです。ひとり殻にこもり、孤独を感じ解決方法が見出せなくなってしまいます。
「辛いのはわたしだけではない。生きていれば誰もが苦しい時期を経験するものだ。」と、他者にも共通の人間性があると気づくことで、苦しみが和らいでいく状態を目的としています。
セルフコンパッションが高まると得られるメリット

セルフコンパッションが高まると得られるメリットを3つ一緒に見ていきましょう。
心を回復させるチカラ(レジリエンス)が強くなる
レジリエンスとは「回復力、弾力、耐久力、再起力」などと訳されます。「困難をしなやかに乗り越えて回復するチカラ」という意味です。辛く苦しい出来事があり精神的に参っているとき、不安やストレスなどのネガティブな感情に溺れてしまいそうになります。ネガティブな感情の海から上がってこられるような、心を回復させるチカラが備わっていれば、どんな困難が訪れようとも立ち向かうことができます。
セルフコンパッションが高まるとありのままの自分を客観的に受け入れ、自分のことをやさしく尊重できるようになるため、前向きなしなやかな心でいられるようになるのです。
ストレスや不安感が軽減される
セルフコンパッションが高まるとストレスや不安感などが軽減される効果があります。「今、この瞬間」ありのままの自分の心と体に意識を向けるマインドフルネスな状態になることで、自分の感情と上手に付き合いコントロールできるようになります。自分がどんな状態なのかを客観的に見るチカラがついてくるので、心は安定し穏やかな状態でいられるようになるのです。
幸せを感じる心が向上する
セルフコンパッションが高まると幸せを感じる心が向上する効果もあります。前向きな気持ちでいられるようになるため、身の回りで起こっているさまざまな出来事に気づいて受け入れられるようになるのです。
常に穏やかな状態でいられるようになるため、今現在自分が置かれている環境をはじめ、些細なことにも喜びと幸せを感じます。また、感謝の心が増えてきます。
- 今日も朝いつものように目が覚めたこと
- お天気がいいこと
- 珈琲がおいしいこと
- 家族が1日元気に過ごせたこと
- あたたかいお布団で眠れること
自分のことをもっと大切にしようという気持ちが芽生え、大切なひとたちと過ごすかけがえのない時間はこんなに幸せなものなのかと、そしてもっと大切にしようと思えるようになるのです。
セルフコンパッションの鍛え方

セルフコンパッションの鍛え方にはさまざまな方法がありますが、今回は慈悲の瞑想をご紹介します。
慈悲の瞑想とは
慈悲の瞑想とは自分や他者を心のなかで思い浮かべながら、慈悲の言葉を念じる瞑想方法です。自分や他者の幸せ、また、自分や他者が苦しみから解放されることなどを願います。最初は、自分自身に向けて以下のような慈悲の言葉を念じます。
- 「わたしが幸せでありますように」
- 「わたしの願いが叶えられますように」
- 「わたしが怒りや憎しみの感情から自由になれますように」
- 「わたしが愛や慈しみの気持ちで満たされますように」
次は自分にとって大切なひとに向けて同じように念じましょう。
- 「わたしの大切なひとたちが幸せでありますように」
- 「わたしの大切なひとたちの願いが叶えられますように」
- 「わたしの大切なひとたちが怒りや憎しみの感情から自由になれますように」
- 「わたしの大切なひとたちが愛や慈しみの気持ちで満たされますように」
最後に、世界中のひとびとや動物、自然などこの世に生きているすべてのものに向けて、慈悲の言葉を念じます。
- 「この世に生きているすべてのものが幸せでありますように」
- 「この世に生きているすべてのものの願いが叶いますように」
- 「この世に生きているすべてのものが怒りや憎しみの感情から自由になれますように」
- 「この世に生きているすべてのものが愛や慈しみの気持ちで満たされますように」
自分の心を温かくやさしく抱きしめてあげよう
今回はセルフコンパッションの大切な要素や、セルフコンパッションを鍛える方法などもあわせてご紹介しました。自分の気持ちに1番に気づいてありのままに受け入れて、自分を大切にできるのはほかでもない自分自身です。頑張りすぎていないですか。辛いときも嬉しいときも自分の心と体に耳を傾けてやさしく抱きしめてあげましょう。前向きで、穏やかに、しなやかな心で生きていきたいですね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
よくある質問

FAQ 1:セルフコンパッション瞑想とは簡単に言うと何ですか?
回答: セルフコンパッションとは、親しい友人に接するように自分に優しさと気づきを向けることです。マインドフルネスとコンパッションを組み合わせて、感情の安定を育みます。
実際の事例: 研究によると、セルフコンパッションを実践した人の60%以上が自己批判の減少と感情的回復力の向上を報告しました。
ポイント: 自分への優しさが、困難に立ち向かう力を育てる
FAQ 2: セルフコンパッションはどのように心の回復力を高めますか?
回答: セルフコンパッションは、失敗や困難から立ち直る際に柔軟で支え合う心を育てます。自己批判に陥らず、強さを持って回復できるようになります。
実際の事例: 研究によると、セルフコンパッションが高い人は、ストレス下でも適応力が高く、ストレスホルモンの分泌が低い傾向があります。
ポイント: 思いやりは木の根のように、心をしっかり支える
FAQ 3: セルフコンパッションはストレスや不安を減らせますか?
回答: はい。セルフコンパッションは神経を落ち着かせ、否定的な自己対話を減らすことで、ストレスや不安を和らげます。
実際の事例: 臨床研究では、セルフコンパッションの実践によって不安症状が最大40%減少することが示されています。
ポイント: やさしい内なる声が、不安の力を弱める
FAQ 4: セルフコンパッションにおけるマインドフルネスの役割は何ですか?
回答: マインドフルネスは感情に気づく力を育て、セルフコンパッションはそれに優しさで応える力を与えます。両者が組み合わさることで心の安定が生まれます。
実際の事例: マインドフルネス・セルフコンパッションのプログラムを受けた参加者は、気分や感情調整の大幅な改善を示しました。
ポイント: 気づきと優しさは最高のパートナー
FAQ 5: セルフコンパッションにおける「共通の人間性」とは何ですか?
回答: 共通の人間性とは、苦しみや失敗は人間に共通する経験であり、自分だけではないと理解することです。
実際の事例: 研究では、共通の人間性を認識することで孤立感が減少し、社会的つながりが強まることが確認されています。
ポイント: あなたの痛みは決してひとりのものではない
FAQ 6: 慈悲の瞑想(Loving-Kindness Meditation)とは何ですか?
回答: 慈悲の瞑想とは、まず自分に、次に大切な人へ、そしてすべての存在へと「幸せでありますように」と祈りを広げる瞑想です。
Real Results: 研究によれば、慈悲の瞑想を続けた人は、自分や他者への思いやりが高まり、ポジティブな感情が増加しました。
ポイント: 思いやりは、分かち合うほど強くなる
FAQ 7: 日常でセルフカインドネスを実践するにはどうすればいいですか?
回答: 「大丈夫」「これはつらいけど乗り越えられる」と自分に声をかけたり、短いメモに優しい言葉を書き残すことから始められます。
実際の事例: 毎日小さな優しさを自分に向けた人は、自己批判が減り、自尊心が向上したと報告しています。
ポイント: 小さな優しさが積み重なり、大きな力になる
FAQ 8: Gasshoの瞑想はセルフコンパッション瞑想とどう関係していますか?
回答: Gasshoは仏教の伝統に根ざし、合掌の姿勢を通じて感謝・気づき・つながりを大切にします。この実践は、セルフコンパッション瞑想と補完的であり、自分への優しさを育てながら、その思いやりを外へと広げることを助けます。
実際の事例: Gasshoの瞑想を実践する人々は、心の落ち着き、ストレスの軽減、そしてつながりの感覚の向上を報告しており、これはセルフコンパッション瞑想に関する研究結果とも共通しています。
ポイント: Gasshoは感謝と思いやりを一つのシンプルな姿に込める
FAQ 9: セルフコンパッション瞑想の始め方は?
回答: まずは5〜10分の短いマインドフルネスから始め、セルフカインドネス(自己への優しさ)の言葉を加え、慈悲の瞑想を実践しましょう。大切なのは長さよりも継続です。
実際の事例: 初心者でも毎日5〜10分の実践を続けた結果、数週間で感情の安定を実感したと報告されています。
ポイント: 小さく始めて、自然に思いやりを育てる
FAQ 10: セルフコンパッション瞑想はどのようにステップごとに実践すればよいですか?
回答: セルフコンパッション瞑想を行うには、静かに座り、呼吸に意識を向け、心に課題や困難な状況を思い浮かべます。そして「これは苦しみの瞬間です。私は自分に優しくあれますように。必要な思いやりを自分に与えられますように」といった優しい言葉を繰り返します。慣れてきたら、その願いを他者にも広げていくことができます。
実際の事例: 多くの実践者が、1日5〜10分セルフコンパッション瞑想を行うことで、感情の安定が高まり、自己批判が減少するなどの効果を報告しています。
ポイント: 毎日優しい言葉を繰り返すことで、自分との関わり方が変わっていく
FAQ 11: マインドフル・セルフコンパッション(MSC)プログラムとは何ですか?MBSRとどう違いますか?
回答: MSCプログラムは、マインドフルネスとコンパッションを組み合わせ、自己への優しさと心の回復力を育てるための科学的根拠に基づいたトレーニングです。MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)がストレス軽減と「今この瞬間」への気づきに重点を置くのに対し、MSCは自己への思いやりを中心に育てることを目的としています。両者は補完的であり、多くの人が組み合わせて実践しています。
実際の事例: 欧州や北米の研究では、MSCを受講した人はレジリエンスの向上、不安の軽減、生活満足度の上昇を報告しており、その効果は数か月持続することが示されています。
ポイント: MSCは「気づく」だけでなく、その瞬間に自分に優しく寄り添うことを教えてくれる
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