未来と静けさ

ジョー・ディスペンザ瞑想を GASSHO のまなざしで味わう
みなさんは「こうなりたい自分」を思い描いたことがありますか。
胸が高鳴る未来図にワクワクする一方で、「いまのままでもいいのかな」と揺れる瞬間もあるでしょう。
今回ご紹介する ジョー・ディスペンザ博士の瞑想 は、そんな揺らぎの中で“意図的に変容する力”を呼び覚まします。
そして GASSHO が大切にするのは、“すでに在る静けさ”に戻る感覚。
変わる瞑想 と 帰る瞑想――ふたつの灯りを重ねながら、今この瞬間を照らしてみませんか。
ジョー・ディスペンザ瞑想──脳科学が紡ぐ「未来先取り」の実践
ディスペンザ博士は、脳神経科学・量子物理学・心理学を横断しながら
思考と感情を先に変えれば、現実は後からついてくる
と説きます。
まず深い呼吸で雑念を静め、心を“ゼロポイント”へ戻します。
次に、望む未来を五感すべてでイメージし、その未来を「すでに生きている」感情――喜びや感謝、充足感――を先取りします。
脳は想像と現実を区別しにくいため、先取りした感情が新しい神経回路を築き、ホルモンや免疫にも影響を及ぼす。これが博士のメソッドの核心です。
GASSHO が見つめる“戻る場所”──変化へ急がず静けさに還る
一方 GASSHO は、仏教的な「只今此処(ただいまここ)」の感覚を礎に据えています。
目指すのは、何かを“達成”するよりも そぎ落として静まること。
「変わらなきゃ」という焦りをほどき、内側にすでにある平穏へ帰ってくること。
瞑想は目的達成のツールではなく、疲れた心が いつでも帰れる縁側 のような存在です。
共鳴する点と、そっと距離をとる点
両者には大切な共通項があります。
・意識が現実を変える――ディスペンザは脳科学で、GASSHOは仏教哲学で同じ前提に立っています。
・“今ここ”を出発点にする――未来の感情を先取りするのも、静けさに触れるのも「今」の力を信頼しているからです。
ただ、そこから歩き出す方向には柔らかな違いがあります。
・ディスペンザ は未来をデザインしに行く“加速装置”。ワクワクする高エネルギーを先に味わい、現実を創造していくスタイル。
・GASSHO は変化を急がず“在り方”に価値を置く“よりどころ”。焦燥が高まったとき、深呼吸で元の静けさに戻ることを勧めます。
言い換えれば、ディスペンザは 「火を灯す瞑想」、GASSHOは 「風を受ける瞑想」。
どちらが正しいかではなく、場面によって寄り添ってくれる異なる性質の道しるべなのです。
ディスペンザ瞑想の実践 ── ワクワクを先取りする 10 分間
1. 静かな場所で背筋を伸ばし、目を閉じて深呼吸。
2. 6カウントで吸い、6カウントで吐き、思考を雲に乗せて遠ざける。
3. 健康・人間関係・仕事など、望む未来を映画のように再生する。
4. その未来を「すでに生きている」自分と重ね、喜びや感謝を胸に満たす。
5. 高揚したエネルギーが全身に巡るのを感じたら、ゆっくり目を開ける。
ポイントは 「感情を先取り」 すること。単なる願望リストではなく、身体でリアルに味わう臨場感が鍵です。
GASSHO式“静けさブレンド”──変わる熱量を穏やかに整える
ディスペンザ瞑想のあと、あるいは日中ふと焦りを感じたら、次の手順で静けさに帰ります。
1. 椅子に腰掛けるか床に座り、背骨を伸ばす。
2. 息を吐きながら肩を落とし、耳の奥の静寂を聴くように意識を向ける。
3. 思考や音、感情をジャッジせず、ただ通り過ぎるのを感じる。
4. 三呼吸ほどで心拍が落ち着いたら、「いま、ここ」に戻った自分を確認して再び歩き出す。
変容の火種が強すぎて燃え尽きそうなとき、静けさという水をそっと注ぐイメージです。
二つの灯りで日常を照らす
朝――ディスペンザ瞑想で未来の自分を詳細に思い描き、感謝と歓喜を先に味わいます。
その余熱が残るうちに、3呼吸だけ静かに坐り「音のない静けさ」に意識を傾ける。すると、未来へ伸ばした意図が確かな“今”に根を張ります。
日中――プレッシャーを感じる場面で、朝描いた成功イメージを思い出して勇気を取り戻しましょう。ただし火が燃え上がり過ぎたら、すぐにGASSHOの静けさへ戻り、三呼吸で緊張を緩めます。
夜――1日の終わりにディスペンザ式で「今日のよかったこと」をリプレイし感謝を深めたら、灯りを落とし、ただ鼓動を聴いてください。そこには「何も足さなくても満たされていた」というGASSHOのやさしい余韻が静かに広がります。
結び──深呼吸で、未来と静けさを抱きしめる
深く息を吸い、湧き上がる可能性で胸を満たす。
ゆっくり吐き、底に横たわる静けさに触れる。
その往復こそが、意図的な変容と無条件の安らぎを同時に抱く生き方です。
今日という瞬間、火を灯し、同時に還る場所を思い出す。
そんな二重奏を楽しみながら、一杯のコーヒーを丁寧に淹れてみてください。
小さな日常の中にも、未来と静けさはいつも寄り添っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日もやさしく流れる意識で、自分の未来とつながる一日となりますように。