マインドフルネスをうまく実践し、健康的な生活を送りましょう
マインドフルネスはどういったもの?健康メリットは?
マインドフルネスとは、簡単にいうと、「今、この瞬間」ありのままの自分の心と体に意識を向け集中している状態をいいます。科学的な研究も進んでおり、マインドフルネスは心と体の健康に多くのメリットを生み出すことが分かっています。
インターネットが登場し、SNSの普及によって、いつでもどこに居ても情報を手に入れられる大変便利な時代になりました。その半面、私たちの頭の中は常に様々な情報や考え事で溢れかえっています。
考えすぎて疲れた時や心を落ち着かせたい時、数分の間だけ、光、音や香りに意識を向けてみませんか。少しでも「気持ちが楽になった」と感じられたら、それはマインドフルネスの第一歩です。
マインドフルネスとは?
まずはマインドフルネスの語源をみていきましょう。
マインドフルネスとは、古代インドの言語であるパーリ語の仏教用語である「サティ(sati)」を英訳したものです。(パーリ語は、現在は使われていませんが、お釈迦様が約2500年前に話されていた言葉です。)
日本語では、「気づき」と訳します。
「サティ」の意味は、①言葉以前の気づき、②ありのままの注意、③思い起こすこと、と主に3つあると考えられています。
仏教と関わりが深いマインドフルネスですが、その効果を医療の分野で役に立つのではないかと考え科学的に実証を重ねていったのが、アメリカマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン博士です。
1979年に「マインドフルネス・ストレス低減法(マインドフルネス瞑想法)」を発表します。うつ病の改善や疼痛が和らぐなどの効果が脳科学の分野で確かに認められ、広く世界に知られることとなりました。
また、心理学の分野においては、自己認識力、衝動の抑制等に良い影響を与えると確認されています。
「今、この瞬間」を意識することの大切さ
私たち人間は、無意識のうちにとかく過去や未来に意識を向けてしまう傾向があります。
- 過去にあった出来事を思い出して悲しい気持ちになる
- これから先の未来を想像してワクワクする、逆に不安になる
- 何らかの考えに囚われて苦しむ
このように、なんともしようがない考えや根拠のない想像で身体中がいっぱいになると、今目の前で起きている事柄や状態が見えなくなり、上の空になってしまいます。
今を生きているのに、「今、この瞬間」に居続けることは、なんと難しいのでしょう。
あらゆる物事において、良い、悪いなどの判断をせず「今、この瞬間」目の前の現実を意識し、五感を研ぎ澄まして観ると、集中力や注意力が高まり、日々の生活で気づかなかった物事に気が付くようになるでしょう。
「今、この瞬間」の現実で、自分自身の心が満ちていれば、不安や怒りなどに振り回されなくなり、穏やかで静かな心、つまりマインドフルネスな状態でいられるようになります。
マインドフルネスと瞑想の違い
マインドフルネスと瞑想が同じものなのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
日本マインドフルネス学会において、マインドフルネスの定義は、『今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態でただ観ること』とされています。
「今、この瞬間」目の前の物事に対して何も考えずに集中している状態です。
例えば、お茶や珈琲などを飲むときにただ飲むのではなく、五感をフル動員して、色、香り、温度や喉を通ってゆく感覚に意識を集中して飲んでみる、というようなことです。
一方で瞑想(メディテーション)とは、『心を静めて無心になること、何も考えずにリラックスすること、心を静めて神に祈ったり、何かに心を集中させること、目を閉じて深く静かに思いをめぐらせること』と、明示されています。
文を読むと一見同じもののように感じるかもしれませんが、マインドフルネスと瞑想の最も異なる点は「目的」にあります。
マインドフルネスの目的
マインドフルネスの目的は、確かなメリットを手に入れることです。集中力が上がって効率的に仕事ができたり、怒りやイライラなどの感情を抑えたりと、ストレスなく日々を生きるために行います。
Apple、Googleやヤフー等の大手企業が、生産性、発想力やチーム力の向上などの利益を求めて、マインドフルネスを導入している話もよく知られています。
瞑想の目的
脳の緊張を和らげ、リラックスさせることが瞑想をする1番の目的です。マインドフルネスのように、何らかのメリットを手に入れることではありません。
私たち人間は何もしていなくても、日常生活のあれこれや過去に起きた出来事などが次々と頭に浮かんでくるため、脳は休む暇がありません。瞑想は、余計な思考を排除し、ありのままの自分の心と体に意識を向けられるようになるための手段なのです。
マインドフルネスで得られる効果
マインドフルネスは、私たちに様々な効果をもたらしてくれます。1970年代から、アメリカを中心に科学的・医学的な研究が進んでおり効果も実証されています。
ここからは、マインドフルネスで得られる心と体の健康について、それぞれ3つずつ解説します。
【心】不安、ストレスを取り除いてくれる(耐性がつく)
過去に起きたことや、まだ見ぬ未来を想像し不安になったり悩んだりと、「今この瞬間」に集中できずに様々なストレスに苛まれる人は大変多いです。マインドフルネスを継続して行うと、「考えても仕方のないこと」から自分を解き放つことができます。
不安、怒りや落ち込みなどのネガティブな感情に囚われてしまうと、どんどんストレスを増やしてしまう原因になります。「今この瞬間」に集中するという精神状態を続けられるように訓練をすることで、どんな時でも何があっても揺れ動かない強い心を保てるようになります。
また、ストレスを良い方に捉えて、上手に転換できるようになるでしょう。
【心】集中力が向上する
余計なことを考えない状態になるため、集中力を高めることが分かっています。
例えば仕事中、他のことに注意が逸れたと”気が付き”、またやるべき仕事に”注意を戻す”というように、注意をコントロールする力を養い育てることによって集中力が向上するのです。
「また他のことを考えてしまった」と嘆く必要はありません。それもすべて、ありのままに受け入れましょう。
集中➡注意が逸れたことに気が付く➡また集中、このように繰り返し訓練を行っていけば、他のことを考えている時間も短くなります。感情に流されずに冷静な判断ができるようになるでしょう。
【心】自己認識力(セルフアウェアネス)が向上する
自己認識力とは、「自分自身の内面を深く追求し、自分がどのような状況や精神状態にあるかを自覚すること」また、「自分自身の性格、能力、思考パターン、感情などを明確にし、理解する能力」とされています。
自己認識力の高い人というのは、例えば自分が怒りを感じた時に「私は今怒っているんだ」と客観的に認識して、その感情をパッと意識的に捨て去ることができます。
反対に、自己認識力が低い人は、怒りの感情に引っ張られてしまいます。その後も些細なことでイライラしたりと不快感が続く人もいるでしょう。
マインドフルネスを継続すると、自分の思考や感情を客観的に捉えられるようになります。
結果的に、腹が立ったり不快に感じたりすることがあっても、その感情に吸い込まれずに常に安定した感情をもって、日々の暮らしが送れるようになるのです。
【体】様々な痛みの緩和が期待できる
痛みを感じたときに、その痛みから目を背けずに分かろうと集中することは、痛みを軽減するのに効果的だと研究で明らかになっています。
原因不明の腰痛や膝の痛みなどの慢性的な痛みには、肉体的な問題だけではなく内面的なストレスも関係しており、ストレスに対する処理能力が高い人ほど、腰痛が治りやすいというデータもあります。
マインドフルネスを取り入れることで、自分の体、感覚や心に意識を向け、痛みの原因がどこからきているのかを観察することができます。痛みをゼロにすると考えるのではなく、痛みと上手に向き合い、コントロールし、毎日の生活がより良いものになるように目指していきましょう。
【体】血圧の低下が期待できる
血圧と自律神経は深く関わり合っています。
ストレスが多く、緊張している状態では交感神経が優位になり、血圧が上昇します。反対に、リラックスしている状態の時には副交感神経が優位になり、血圧は下がります。
2020年に行なわれた研究によりますと、マインドフルネスを行っている人々は、行っていない人に比べ、高血圧の罹患率が低いことが確認されたのです。
生活にマインドフルネスを取り入れることにより、ストレスや不安が緩和され、その結果、血圧が低下が期待できるといわれています。
【体】睡眠の質が向上する
2人に1人が睡眠に関する悩みを抱えているといわれています。なかなか寝付けなかったり、夜中何度も目が覚めてしまったりと、ぐっすり眠れないのは本当に辛いです。
実は、マインドフルネスの短期的な素晴らしい効果として、睡眠の質が高まることも確認されています。早い人では、数日から数週間で効果が出る場合もあるといいます。
心も体もリラックス出来るため、交感神経と副交感神経のバランスが整い、深く眠れるようになるのです。
マインドフルネスの実践方法
マインドフルネスの効果を感じるには、継続した練習、そして習慣化が大切です。ここからは、マインドフルネスの基本である呼吸瞑想を解説していきます。
呼吸に意識を向けて「今、この瞬間」に集中し続ける練習を、まずは1日5分から始めてみませんか。
1.姿勢を正して座る
座禅を組むような決まった姿勢である必要はありません。ポイントは、背筋をピンと伸ばし、重心が真っすぐに座骨に落ちるイメージで安定した姿勢を保つことです。
片足だけを太腿に乗せる半跏趺座(はんかふざ)や、胡坐など、自分が安定して座れる組み方が決まったら、両手をそれぞれ両膝の上に乗せ、手の平を上に向けましょう。
足を組む動作が難しい場合は、椅子に座って行います。膝を軽く開き、足の裏はぴったりと床に着けましょう。
両方の耳、肩と腰骨が垂直になり、鼻の下にお臍がある状態が真っすぐな姿勢です。この時、反り腰にならないように注意をしてください。
次に、体をゆっくりと左右に揺らしましょう。その揺れをだんだんと小さくしていき、左右均等に体重をかけるイメージを持つことが大切です。
2.自分の呼吸にしっかりと意識を置く(呼吸瞑想)
腕や肩を脱力し、無理のない姿勢で楽にして呼吸を整えます。最も大切にしてほしいポイントは、呼吸をコントロールしないことです。
起きていても寝ていても、生命を維持するために私たちは絶えず呼吸をしています。日々の暮らしの中で、当たり前に行っている呼吸を意識した経験はありますか。
呼吸瞑想とは、私たちが無意識にしている自然な呼吸にしっかりと意識を置き観察することです。
鼻から吸って気管を通り、肺に送られる空気をイメージしてみましょう。また、呼吸とともにお腹が膨らみ縮んだり、肩がゆっくりと上下したりする体の変化をただひたすらに感じます。「今、息を吸っている」、「今、息を吐いている」という感覚をとらえてみましょう。
3.感情や思考が浮かんできても、追いかけずに呼吸に戻る
瞑想をしている間、注意力が散漫になることがあります。
まずは、「自分の心や思考はあちらこちらに動き続けるものだ」と、自分自身で気が付くことがとても大切です。雑念がでてきても、「今自分は、こんなことを考えた」と気が付き、また瞑想に戻るという繰り返しです。
集中できない自分を責めないこと、浮かんできた思考や心の動きを追いかけないことが重要です。意識が逸れたとしても、静かに呼吸に意識を戻しましょう。
マインドフルネスを毎日の生活に取り入れる
先ほど、マインドフルネスの実践方法として呼吸法をご紹介しましたが、実は日常生活の中でも簡単にマインドフルネスを取り入れられます。
無理をして朝早く起きて、マインドフルネスにあてる時間を確保する必要もありません。毎日の暮らしの中で行っている、掃除、洗濯や料理などの作業に対して、少しだけ注意を払ってみませんか。
例えば、世の中には料理をするとイライラしている気持ちやストレスなどが発散される、という方が一定数存在します。それは、食材を切り刻んだり、すり下ろしたりなど単純な作業に没頭することにより、雑念が消え、瞑想と同様の効果が得られるからです。
日常の生活を意識してよく観察をしてみると、無意識に行っていることが結果的にストレスを発散している、ということが起きているかもしれません。
歩く
歩行瞑想は、禅の世界では経行(きんひん、きょうぎょう)と呼ばれます。経行とは、「心身を整えるために、一定の場所をゆっくり歩くこと」という意味です。
通勤・通学や散歩などで歩いている間、足裏の感覚に注意を向けてみましょう。つま先、足の指の1本1本や踵が、地面に触れたときに生じる感覚を隅々まで意識して歩きます。なにか考え事が出てきて集中が途切れたとしても、そのことに気づき、否定的に受け止めないでください。
雑念が湧いてきたことを受け入れ、また淡々と足の感覚に意識を戻します。
歩行瞑想を繰り返しているうちに、浮かんだ思考や感情などから、「今、この瞬間」に戻る力を養い育てていけるのです。
食べる
毎日の食事においても、マインドフルネスな状態を作れます。普段、どのような環境で食事をされていますか。スマホやテレビを見たり、本や新聞を読んだりなどの「ながら食べ」をしてはいないでしょうか。
ながら食べをしていると、食べ物に意識が向かず、脳が食事中であると十分に認識できなくなってしまいます。その結果、唾液や消化酵素の分泌がされにくくなり、消化器官が低下して内臓に負担がかかってしまうのです。
何を食べているのか、どんな香りがしているのか、食べ物に真摯に向き合ってみましょう。
例えば、炊きあがったばかりのキラキラと艶めく見た目、香り、お米の粒の柔らかさ、味、咀嚼している音が挙げられます。これらの感覚に集中することで、普段自分が如何に上の空で食事をしていたかに気づかされます。
自然と感謝の気持ちが生まれ、食べた物で自分の体ができていることを改めて自覚できるでしょう。
手を洗う
最後は、「手を洗う」です。コロナ禍になり、以前よりも手を洗う回数が増えたという方もいるでしょう。折角ですので、ただ洗うのではなくマインドフルに手洗いをしてみませんか。
もちろん手だけではなく、お皿洗い、お風呂で体や髪の毛を洗う時などにもマインドフルな状態を作れる機会はあります。
水やお湯の温度、手に触れる感覚、モコモコした泡の気持ちよさ、手の平、甲や指の1本1本の感覚、洗い終わったあとの石鹸の香りなど、全てに意識を集中します。
仕事や学校などから疲れて帰ってきた時、1日中休まず働いている大切な手に、「今日もありがとう。」の気持ちを込めて、手を洗ってみるのはいかがでしょうか。きっと心が落ち着き、穏やかな気持ちになるでしょう。
マインドフルネスを行うにあたっての注意点
様々な効果をもたらしてくれるマインドフルネスですが、なかには実践をすると身体に不調を感じてしまう方もいます。
統合失調症、うつ病や強迫性障害などの精神疾患を抱えている方は、瞑想を行い余計な思考を失くそうとすることで、自分の問題点や不安な部分に意識が向いてしまいます。その結果、症状が悪化する可能性があります。
また、PTSDなどの心的外傷後ストレス障害をお持ちの方も、瞑想を行い過去のトラウマが表面化してしまうことが考えられます。
どうしてもマインドフルネスをやってみたいという気持ちが強い場合は、自分自身の身体の状態をよく把握すること、主治医や心理カウンセラーに問題がないかどうかを必ず相談することが大切です。
瞑想アプリGASSHOのご紹介
瞑想に興味があるけれど何から始めたらいいのか分からなかったり、体験講座などに行くのは気が引けてしまったりと、このような悩みを持つ方が、ご自宅で気軽に始められる瞑想アプリは、現在世界中で数多く配信されています。
こうした瞑想アプリの特長としては、以下の点にあるようです。
- ストレスや不安の緩和
- 姿勢や呼吸法を音声で案内
- 睡眠に関するコンテンツが充実(睡眠導入をサポート、眠りを記録など)
- リラクゼーション(心地よいサウンド、自然環境音の視聴など)
リラックスしたい時や就寝時など、利用する場面に合わせて専用の音声が用意されていたりと、使いやすい面も多くあるようです。
特に瞑想アプリGASSHOは、より良いコンテンツを皆様にお届けしたいという想いで一切妥協せずに開発が進められました。現在は高野山別格本山金剛三昧院にコンテンツを提供いただいており、高僧のお話、講義を聴くことが可能で、以下のように内容が充実しています。
- 一般には滅多に公開されないお寺の貴重な動画の配信
- ご利益のあるお話や雑談
- 短い時間でストレス軽減、メンタルヘルスの改善
- 感謝の気持ちを込めてお寺にご志納ができる
瞑想を始めてみたいという方には、一から学び実践ができたり、お経や講義が聴けたりと他にはない情報が豊富に用意されています。
また、お寺に参拝したくても様々な事情で行くことが難しい方もおられるでしょう。離れていても、お寺の魅力に触れ、身近に感じられるのではないでしょうか。
「遙拝」という言葉がありますが、離れていても真っすぐな心で手を合わせ、祈りを捧げることでその思いは必ず届くのです。
瞑想アプリGASSHOは、こちらから今すぐにダウンロードが可能です:https://apps.apple.com/jp/app/gassho/id6479964886
まとめ
マインドフルネスとは、過去や未来ではなく「今、この瞬間」ありのままの自分の心と体に意識を向け集中している状態をいいます。
科学的・医学的な研究も進んでおり、マインドフルネスが私たちの心と体に様々な効果があると実証されています。
- 不安やストレスの排除
- 集中力の向上
- 自己認識力(セルフアウェアネス)の向上
- 様々な痛みの緩和
- 血圧の低下が期待
- 睡眠の質の向上
また、マインドフルネス呼吸法をご紹介しましたが、特別に時間を作る必要はありません。日々の暮らしの中で、マインドフルネスを取り入れることが可能です。歩いている時や、食事をしている時など、その一つ一つに意識を向け集中してみましょう。
ほんの少しの間だけでも、「今、この瞬間」ありのままの自分の感情や体の状態に気が付くことで、すっきりとした穏やかな気持ちを感じられるかもしれません。
頑張りすぎないこと、そして、できるところから少しずつ自分のペースで行うことが大切です。「今、この瞬間」を捉えることができれば、ものの見方が変わり、本当の自分の人生を豊かにしていくでしょう。