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日々の生活

子どもの心を守る深呼吸

子どもの心を守る深呼吸

子どもと一緒にできる心を落ち着かせる呼吸法

不安や緊張などによるストレスがあると呼吸が浅くなるのは大人だけではありません。

大人の場合はストレスに気づいて自分なりに心を落ち着かせる方法があるかと思いますが、まだ自分の気持ちをうまく言葉にできない幼い子どもの場合、ストレスに気づけないことがあります。

周りにいる大人は、子どもが出しているストレスサインに気づいて早めに対応していきたいところです。このような場面で頼りになるのが深呼吸です。ゆっくりと深呼吸すると副交感神経が優位になり心と体がリラックスモードに入るとされています。

今回は幼い子どもでも一緒にできる深呼吸をはじめ、丹田呼吸法や4・7・8呼吸法などの心を落ち着かせる呼吸法をご紹介します。

ストレスの原因

ストレスを引き起こす原因になる刺激をストレッサーといいます。ストレッサーには以下のように4つの要因があります。

【物理的なもの】

湿度、温度、暑さ、寒さ、騒音、光などの環境的な要因

【化学的なもの】

たばこ、アルコール、食品添加物、公害物質などの化学物質によるもの

【生物的なもの】

ウイルス、花粉、アレルギー物質、病原菌などの生物によるもの

【心理的・社会的なもの】

家庭環境、人間関係、将来への不安、怒り、悲しみなどの精神的な要因

子どもはどんなことにストレスを感じるのか

ストレスの原因になる刺激をストレッサーといいますが、実際に子どもはどんなことにストレスを感じるのでしょうか。大きくて強いストレスから、小さいけれど長期的に続くストレスなどさまざまです。複数の出来事がストレスの要因となる場合もあるでしょう。

地震や台風などの天災、入園や入学などの環境の変化、自身の体調不良などをはじめ次のようなものがストレッサーとなり得ます。

・友だちと喧嘩した
・習い事
・新しい家族が生まれた
・家族の不仲
・休み明けの月曜日 など

また、テレビや動画サイトなどのメディアから流れる暴力的なシーンや、暴力的な内容や残酷な表現が含まれるゲームなども該当します。

気づこう!子どもが発するストレスのサイン

ストレスを感じるとイライラしたり頭痛がしたりと、心と体にさまざまな症状が現れますが子どもも同様です。子どもは自分がストレスを感じていると気づきにくいうえに、気持ちをうまく言葉にして伝えられない場合もあります。

そのため大人よりも心と体に症状が出やすいとされています。

お腹が痛いと訴えてきたり、いつもより食欲が無かったりするのは子どもが発するストレスサインの可能性があります。ストレスサインに気づいたときにすぐに対応することが大切です。

ほかにも心と体に現れるストレスのサインは以下の通りです。

【心のサイン】

不安や緊張が強く出る、イライラして怒りっぽい、意欲の低下、集中力がなくなる など

【体のサイン】

頭痛、腹痛、食欲不振、眠れない、アレルギー症状の悪化 など

心の不安が子どもにもたらす影響

長期的に心の不安が続くと子どもの健康が損なわれたり発達に影響を及ぼすこともあります。

・睡眠不足や食欲低下から免疫力が落ちて風邪をひきやすくなる
・自己肯定感が低下し自分を大切に思えなくなる
・コミュニケーション能力が低下する など

深呼吸の素晴らしい効果

いつも無意識に行っている呼吸と健康は深い関わりがあります。不安やストレスを強く感じていたり、姿勢が悪かったりするとわたしたちの呼吸は浅くなります。

呼吸が浅く速くなると脳や体内に酸素が十分に行きわたらず、集中力が低下したり自律神経が乱れてゆっくりと休息できなくなったりなど、心と体にさまざまな不調を及ぼすのです。反対に深くゆっくりとした呼吸は自律神経をととのえ、睡眠の質や免疫力などを向上します。

たとえば人前での発表や大事な試験など「大丈夫かな、うまくいくだろうか」と緊張や不安を抱えているときに、大きく深呼吸をすることってありますよね。深呼吸をすると、わたしたちの体にある副交感神経が優位に働きリラックスして心を落ち着かせてくれます。

呼吸に意識を集中してゆっくりと深く行うことで、ストレスを軽くして感情を上手にコントロールできるようになるのです。

楽しく深呼吸しよう

子どもの様子がいつもと違い、不安や緊張を抱えているかもしれないと気づいたら、まずはゆっくりと大きく深呼吸しようと声をかけてみましょう。年齢が幼い場合もわかりやすい言葉で声をかけながら楽しく深呼吸できたらいいですよね。

1. 子どもと横並びに座ります。あぐらでも椅子に座っても構いません。背筋をピンと伸ばしましょう。

2. お手本を見せながら「お腹に手を置いてみようか。」と声かけをします。

3. 「鼻からゆっくり息を吸ってみよう、お腹が風船みたいぷくーっと膨らむのわかるかな。」「今度はゆっくり口からふぅーっと息を吐いてみよう、風船になったお腹がしぼんでいくのわかるかな。」などと声をかけながら、数回繰り返してみます。

4. 終わったら深呼吸をしてみてどうだったか、「なんとなく落ち着いてきたかな。」「またモヤモヤするときや、イライラしたときに一緒にやってみようね。」などと話してみましょう。

丹田呼吸法

丹田呼吸法は緊張をほぐして心と体を落ち着かせてくれる呼吸法の1つです。

おへその約10センチ下の腹部にある部分が丹田です。丹田呼吸法は腹式呼吸とは異なります。息を吸うとき、丹田の部分に空気が溜まるようにと意識して行います。

「息を吸っている」「息を吐いている」と心の中で観察しながら、一呼吸一呼吸、丁寧に行ってみましょう。深く呼吸をすることで自律神経がととのい、血行がよくなり体がポカポカしてくる感覚が得られるでしょう。

方法

1. 下半身が安定するようにあぐらをかいて座ります。

2. 背筋をピンと伸ばして目はやさしく閉じ、右手もしくは両手を丹田に添えましょう。

3. 丹田に意識を集中させます。体のなかにある空気をすべて口から吐き切るイメージで息を吐き出しましょう。

4. 丹田を膨らませるイメージでゆっくりと鼻から息を吸います。少し長めに口から吐き出しましょう。1日に10回程度から始めてみます。無理はせず自分のペースで行いましょう。

4・7・8呼吸法

4・7・8呼吸法とは、4秒7秒8秒の時間をかけて呼吸を行う方法で腹式呼吸のひとつです。ゆっくりとしたペースを意識して腹式呼吸を行うため、横隔膜を動かせる効果も期待できます。

胸とお腹を仕切っている横隔膜が動くと、体の隅々まで酸素が行きわたるので血行促進に繋がります。また、内臓機能の活性化や自律神経のバランスをととのえてリラックスできるなど、心と体にいいことだらけです。

リラックスできる静かな場所でゆっくりと集中して行いましょう。

方法

1. 口を軽く開けて息を完全に吐ききります。
2. 4秒かけてゆっくりと鼻から息を吸い込みましょう。
3. 息を吸い込んだままの状態で7秒キープします。
4. 8秒かけてゆっくりと口から息を吐き出しましょう。これらを数回繰り返し行います。

子どもの好きな香りを用意しよう

深呼吸がなかなか難しいという子どももいるかと思います。そんなときは子どもの好きな香りがあると呼吸に集中しやすいでしょう。

果物が好きな子どもには柑橘系のアロマの香りはいかがでしょうか。オレンジ・スイートやマンダリンは温かみのあるほっとする香りで、気分を穏やかにしてくれます。寒い季節になってきたら、眠る前に温かいココアの香りもいいですね。

子どものストレスサインに気づいたら一緒に深呼吸しよう

今回は心を落ち着かせる呼吸法として、幼い子どもでも一緒にできる深呼吸をはじめ、丹田呼吸法と4・7・8呼吸法をご紹介しました。

子どものストレスの原因となるストレッサーは、環境の変化やお友だちとの関係、アレルギーや病原体などの生物によるものなどさまざまです。

まだ自分の気持ちをうまく言語化できない子どもは気づかないうちにストレスを溜めてしまっている場合もあります。子どもは大人よりもストレスサインが心と体に出やすいため、周りにいる大人が気づいてあげることが大切です。

朝目覚めたとき、夜寝る前、ストレスに気づいたとき「一緒に深呼吸してみよっか。」と声をかけてみましょう。続けているうちに保育園や学校などでも、自分でできるようになったら素晴らしいですよね。

日々の暮らしがよりよいものになりますように、いつでもどこでもできる深呼吸を取り入れてみませんか。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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