海外で話題の「Tea Meditation」 心と体を癒す時間

海外で話題の「tea meditation」をご紹介
瞑想の方法には様々な種類がありますが、どのように始めればよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、海外で話題の「tea meditation」です。
疲れた時や、一息ついてリラックスしたい時などにお茶を淹れると落ち着いたという経験もあるでしょう。
お茶を淹れる機会が多いという方も、なかなか時間が取れないという方にもおすすめしたいのが「tea meditation」です。お茶を淹れてから頂くまでの動作を一つ一つ集中して行うと、瞑想と同じような効果が得られます。
「tea meditation」の方法、茶道とマインドフルネスの関係や、リラックス効果のあるお茶もご紹介します。
丁寧にじっくりと時間をかけて、茶葉から淹れた1杯のお茶をゆっくりと飲み終えた時、普段と違った安らぎを得られるかもしれません。
「tea meditation」とは
「tea meditation」とは、「今、この瞬間」に集中しながらお茶をいただくことです。今日はどのポットでお茶を淹れて、どのカップで何のお茶をいただこうか、などと考えるところから始まります。
お茶を淹れる時、無意識に触れたり行ったりしている物事一つ一つに意識を向け、「今、この瞬間」に集中します。お茶を淹れてからいただくまでの一連の動作には、他にも意識を向けるポイントは多くあります。
・水やお湯の温度
・茶葉の色や形
・お湯を注いだ時のお茶の香り
・カップの温もりなど
「今、この瞬間」の現実で、自分自身の心が十分に満ち足りていれば、不安や怒りなどに振り回されなくなります。脳の緊張を和らげ、心と体に穏やさを感じられるでしょう。
「茶の湯とはただ湯を沸かし茶を点ててのむばかりなることと知るべし」
この和歌は、利休道歌(りきゅうどうか)の一首です。
利休道歌は、茶の湯を大成させた茶人である千利休の教えを、初心者の方にも分かりやすいように和歌の形にしたものです。
ご紹介した歌は、「茶の湯は決して難しいものではなく、お湯を沸かしてお茶を点て、お客様に差し上げ、自分もいただくという、日常生活をもとにしていること」を示しています。
ただお湯を沸かし、お茶を点て、飲む、という一見するとシンプルに感じられますが、これを行う難しさと大切さを千利休は教えてくれているのです。
和敬清寂(わけいせいじゃく)
和敬清寂とは、千利休の言葉であり、茶道の根底にある大変重要な思想です。茶道の心得を示す標語として重要視されているため、茶室に掛け軸にされています。
茶道において最も大切にしなければならない精神が、「和敬清寂」の4文字に凝縮されています。
「和」調和の心・・・お互いに仲良くすること
「敬」敬意の心・・・お互いに敬い合う心で接すること
「清」清める心・・・清らかな心、素直な心を持つこと
「寂」静寂の心・・・いつ何が起きても動じない、落ち着いた心を持つこと
四規七則(しきしちそく)の四規である「和敬清寂」は、お茶会を主催する亭主だけでなく、招かれたお客さま側も、この心得を持つことが重要なのです。
次に、四規七則の「七則」を一緒に見ていきましょう。
利休七則(りきゅうしちそく)
利休七則とは、茶道における最も基本的な心得(精神)です。
1. 茶は服のよきように点て・・・心を込める
2. 炭は湯の湧くように置き・・・本質を見極める
3. 花は野にあるように・・・いのちを尊ぶ
4. 夏は涼しく冬は暖かに・・・季節感を持つ
5. 刻限は早めに・・・心にゆとりを持つ
6. 降らずとも雨の用意・・・やわらかい心を持つ
7. 相客に心せよ・・・お互いに尊重し合う
目の前の一瞬一瞬に集中して行うお茶を点てるプロセスや茶の湯の精神は、マインドフルネスや瞑想そのものではないでしょうか。
緑茶で行う「tea meditation」
実際に、「tea meditation」の進め方を緑茶を例にして解説しますが、煮出すタイプのお茶でなければどのような茶葉を選んでも構いません。もちろん、淹れ方も自由です。
その時に飲みたいお茶と、そのお茶をどんな風に淹れようかと考えるところから始めてみます。
大切なポイントは、一つ一つの「今、この瞬間」に集中することです。
お湯を沸かす時の様子に注目
電気ケトル、やかんなどでお湯を沸かす時に聞こえてくる音に注目します。グラグラ、ポコポコ、シュー!など、どんな音がするでしょうか。温度が上がるにつれて変化していく音や、蒸気で台所の気温が少し上昇していることなどに気が付いている自分を観察します。
例えば、気温が低い冬の朝、まだ部屋が暖まっていない状態でお湯を沸かすと、湯気の様子はとても鮮明に感じられませんか。自分の心と体が落ち着く場所で、誰にも邪魔されずにお茶を飲むためのお湯を準備する時間は、とても特別です。
茶葉を鑑賞する
茶葉の形、色艶や香りを確かめます。茶葉がこぼれないように気を付けながら、ポットの中に入れましょう。お湯を注ぐときに立ち上る湯気、ポットの中でゆっくりと広がっていく茶葉の様子を観察します。
お茶を待っている間に、考え事がちらついてくるかもしれません。集中できていないと自分を責めずに、考え事が浮かんできたことに気付き、それをありのままに受け止めます。そしてまた静かに、茶葉の様子や香りなどに意識を向けていきましょう。
ゆっくり味わう
お茶をポットからカップに注ぐ時に聞こえる音や、美しい緑色を楽しみます。お茶が注がれたカップを両手で包み込み、手に伝わる温度を感じましょう。
胸いっぱいにお茶の香りを吸い込み、ふぅっと息を吐きます。ひと口飲むたびに、喉を通り身体の中にお茶が沁みわたっていく様子に意識を向けます。また、底に沈んでいる小さな茶葉が揺れ動き、再び静かにゆっくりと戻っていく様子も観察してみましょう。
温かいお茶が心と体を柔らかくしてくれているようなイメージで、じっくりとお茶を飲んでみてください。
美味しくて心を落ち着かせるお茶
心を落ち着かせたり、リラックスができたりするお茶には何があるのでしょう。ストレスケアにも役立つと考えられているお茶を5つピックアップしてみました。
日々の暮らしの中で、ほっと一息付きたい時に取り入れてみるのはいかがでしょうか。
緑茶
緑茶に含まれているアミノ酸の一種のテアニンは、優れたリラックス効果があります。脳のα派を増やし副交感神経に働きかけてくれるため、ストレスを緩和したり睡眠の質を向上したりするなどが期待されています。
テアニンをしっかりと摂取したいときは、「氷水出し茶」がおすすめです。氷水出し茶にすると、カテキン(渋味の成分)が少ないため、テアニンのうまみや甘みがとても強く感じられます。
高温のお湯で淹れた緑茶と異なり、わずかなカフェインしか抽出されないため、就寝前でも安心して飲んでいただけます。
カモミールティー
ハーブティーの一種であるカモミールティーは、私たちの心と体をリラックスさせてくれます。カフェインを含んでいないため、夜眠る前に飲むのもおすすめです。ストレスや不安な気持ちをきっと和らげてくれるでしょう。
カモミールティーの香りが得意ではないという方は、蜂蜜を溶かして飲んでみるのはいかがでしょうか。カモミールが持っている林檎のような甘さが引き立ち、飲みやすくなります。
ジャスミンティー
ジャスミンティー(茉莉花茶)は、煎茶や烏龍茶の茶葉にジャスミンの花の香りを移したお茶をいいます。華やかで甘い香りと風味で、多くの方に親しまれています。
ジャスミンに含まれるリナロールやベンゼルアセテートといった香りの成分には、鎮静作用や抗不安作用などの働きがあるため、リラックス効果があるといわれています。
カフェインが含まれているので、就寝前の摂取や飲み過ぎなどには注意しましょう。
ほうじ茶
香ばしい香りが特徴のほうじ茶は緑茶の一種であり、茶葉を焙煎したものです。緑茶の一種ではありますが、抽出したお茶100gあたりのカフェインの量を比較すると、玉露が160㎎であるのに対してほうじ茶は20㎎と、8分の1のカフェイン量に抑えられています。
これは、茶葉を焙煎する過程でカフェインが気化することが関係しています。
また、ほうじ茶に含まれているテアニンが心と体をリラックス状態へ導いてくれるでしょう。仕事の合間や、1日の終わりにホッとしたい時にぴったりです。
ミントティー
ペパーミントには鎮静効果があるため、気持ちを落ち着けて、リラックスさせてくれる働きがあるといわれています。リフレッシュするイメージもあるのではないでしょうか。
ミントに含まれているメントールの清涼感は、頭や気持ちをスッキリとさせてくれます。
就寝前に飲むと、心地よい眠りへの手助けをしてくれるかもしれません。
スペアミントと一緒に、レモングラスやレモンバームをブレンドしたフレッシュハーブティーもおすすめです。甘さが欲しいという方は、蜂蜜を加えてみましょう。
「tea meditation」で心も体もリラックス!心の安らぎはいつでもそばにある
「tea meditation」は、「今、この瞬間」に意識を向け、集中しながらお茶をいただくことです。
心も体もストレスを感じていて、何をやっても落ち着かない時には、「tea meditation」があることを思い出してください。
・ポットやカップを選び、お湯を沸かす
・お湯が沸く音や、室内の気温の変化を感じる
・選んだ茶葉の色艶、形や香りを楽しむ
・ポットにお湯を注ぎ、立ち上っては消えゆく湯気を観察する
・お茶を注いだカップを両手で優しく包み込む
・温かさを感じながら深呼吸する
・身体に沁みわたっていくお茶を感じる
お茶を淹れてから飲み終えるまでの間に、色々な考え事が頭の中に浮かんでくるかもしれません。お茶の瞑想に集中できていない自分を責めずに、ありのままを受け入れましょう。
考え事をしてしまったことに気が付き、再び目の前で起きている「今、この瞬間」に意識を静かに戻すことが大切です。
ポットの中でゆっくりと広がり、形をかえていく茶葉の美しい様子を見ながら、余計な思考を排除し、ありのままの自分の心と体に意識を向けられるようになります。
自分が好きな時にいつでも、心の安らぎを得られるでしょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。