大般若経転読会

【ご利益】大般若経転読会(だいはんにゃきょうてんどくえ)
複数の僧侶がそれぞれに「大般若〜」と、力強い大きな声でお経の一部を唱えながら、経典を空中にパラパラと広げています。
今回ご紹介するのは、瞑想アプリGASSHOのコンテンツの1つである【ご利益】で視聴が可能な「大般若経転読会」の様子です。経典が宙を舞う様子は美しく、見る者を圧倒します。大般若経には、どのような教えの功徳が説かれているのでしょうか。転読の意味なども詳しく解説します。
大般若経とは
大般若経は、正しくは「大般若波羅蜜多経(だいはんにゃはらみったきょう)」といいます。「般若」は、サンスクリット語で「プラジュニャー」と、パーリ語である「パンニャー」を音写した言葉です。「智慧」という意味を表しています。
「波羅蜜多」は、「パラミター」というサンスクリット語を音写した言葉で、「完全なること」を意味しています。
「西遊記」でおなじみの三蔵法師のモデルになった人物として知られている唐の玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が、17年という長い歳月をかけて、インドから唐の国へ持って帰られた尊い経典です。まさに命がけです。
その経典は、馬22頭分もあったといわれています。玄奘三蔵はさらに4年をかけて経典を漢語に訳しました。それはなんと全部で600巻もあり、文字数は約500万字にも及びます。最大の経典である「大般若経」は、目を通すだけでもご利益があるとされているのです。
六波羅蜜(ろくはらみつ)
大般若経には、六波羅蜜が説かれています。六波羅蜜とは、以下の6つの善い行いを指します。
・布施(ふせ)・・・親切
・持戒(じかい)・・・言行一致(約束を守る)
・忍辱(にんにく)・・・忍耐
・精進・・・努力
・禅定・・・反省 (自分を省みる)
・智慧・・・修養 (学問を修め、徳性を養い、より高い人格形成に努める)
六波羅蜜の特徴は、この6つの中で自分にあったものを1つでも一生懸命に行えば、全部行ったことになるという点です。特に、「布施」は最も功徳が大きいとされています。
「空」の思想
また、大般若波羅蜜多経ではあらゆる物事は「空」であり、実体がないと説かれています。物事は永遠に不変ではなく、あらゆる存在は一時的なものであり常に変わるものだということです。
迷いや苦しみなどの煩悩も、その存在が「空」であるならば、お釈迦様の教えのままに「空」と考え、何にもとらわれないという思想です。「空」の理解により様々な物事に固執しないで、先入観や偏見を持たず柔軟な心で生きられるようになるのです。
転読とは
転読とは、1つの経典を全て読む真読(省略せずに読むこと)とは反対に、経典の最も重要な部分だけ読むことをいいます。また、お経は巻物であったため、経典を転ばせて読んでいたという点も「転読」といわれる所以です。
「日本書紀」によると、日本では奈良時代から、東大寺や薬師寺等の諸寺院で転読が行われていたとされているようです。
本来、経典は読み上げるものですが、600巻ある大般若経を一字一句全て読もうとすると、物凄い時間が必要になってしまいます。そのため、お経の題名と数行だけを唱えながら経典をパラパラと広げ、全てのお経を読んだことにするのです。
それでは、「大般若経転読会」の様子を一部ご紹介します。
何と唱えている?
とても力強く大きな声で、何と唱えているのでしょうか。1巻を転読するたびに、このように唱えています。
「大般若波羅蜜多経巻第(だいはんにゃはらみったきょうかんだい)第一巻~第六百巻、唐ノ三蔵法師玄奘奉詔訳(とうのさんぞうほうしげんじょうぶしょうやく)」
また、経典を頭上に広げパラパラと舞い降りていく際におこる風に当たると、無病息災になるといわれています。
どうして経典を叩くの?
「大般若経転読会」を初めてご覧になった方は、1巻の転読が終わるたびに、なぜ経典を叩くのかと驚かれるかもしれません。
経典で経机をパン!と叩く作法は、除災与楽(じょさいよらく)を祈るという意味が込められています。「全ての災いや悪を祓って取り除き、人々の願いを叶え幸せに導いてほしい。」と祈ってくださっているのです。
まとめ
今回は、瞑想アプリGASSHOのコンテンツの1つである【ご利益】で視聴ができる「大般若経転読会」の様子をご紹介しました。迫力のある声で「大般若〜」と唱えながら、経典をパラパラと広げる転読の様子は、美しくもあり圧巻で、ひと時も目を離せません。
玄奘三蔵が17年という長い歳月をかけてインドから唐へ持って帰られた経典を、さらに4年かけて漢訳された大般若経は、目を通すだけでもご利益があるのです。
一度は、この大般若経転読会に参加して近くでご利益を感じたいですね。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。