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瞑想とマインドフルネス

ヨガと瞑想の深い関係

ヨガと瞑想の関係とは?効果と実践方法も解説

ヨガと瞑想にはどのような関係があるのでしょうか。ヨガという言葉を耳にしたとき、皆さんは何をイメージするでしょうか。美や健康の維持や、色々な難しいポーズなどをイメージする方も多いと思います。

ヨガは、もともと瞑想することだったといわれています。

今回は、ヨガの歴史をはじめ、瞑想の種類や実践方法なども合わせてご紹介します。

習慣的にヨガを行っており、もっと深めていきたい方も、そうでないという方も、日々の暮らしをより良いものにしていけるヒントになりましたら幸いです。

ヨガにおける瞑想

瞑想はヨガの要素のひとつであり、そのふたつは極めて深い関係にあります。

ヨガの3本柱は「アーサナ(ポーズ)・呼吸法・瞑想」であり、古典的なヨガにおいて「ヨガの最終目的は瞑想」と考えられています。

ヨガにおける瞑想とは、自己変容を実現させるためのツールの役割を果たします。

自己変容とは、「本来の自分に気づき、変わることにより、周りの人々に豊かさを与えられる存在になる」という、最終的なゴールです。

ヨガにおける瞑想は、穏やかで、深く落ち着いた呼吸で心と体の緊張をほぐしながら無心になることです。不要なものを取り除き、本当の自分に気が付くことができるようになります。

「ヨガは心の動きを止滅することである」

ヨガの経典「ヨーガ・スートラ」には、「ヨガは心の動きを止滅することである」というもっとも有名な教えがあります。

「心の動きを止滅させる」とは、怒り、悲しみ、迷いや不安などの一時的な心に振り回されない状態を目指すことをいいます。心が無になるということではなく、心が揺れ動かないで静まっている、ということが大切です。

瞑想の歴史

瞑想は、約5,000年前にインドで発祥したといわれています。モヘンジョダロ遺跡から発見された印章に、ひとが座って瞑想をしているような図柄が見つかっており、瞑想の起源を示す、最古の歴史的史料といわれています。

釈尊(ゴータマ・シッダールタ)が悟りを開いたときにも瞑想を実践していたように、瞑想=修行として考えられていました。仏教とも深く関わっており、瞑想方法も多岐にわたります。

現代の瞑想

瞑想は修行であると考えられてきました。一方で現代における瞑想は、リラックスしてストレスを解消できたり、思考を整理するための方法として、私たちの心と体に沢山のメリットがあるといわれています。

途切れることのないさまざまな情報に囲まれ続けている私たちの心と体は、多くのストレスにさらされています。不要なものを手放し、頭の中に余白をつくるように整えることができる瞑想は、私たちの心と体の健康や日々の暮らしをより良いものにするための手段なのです。

ヨガにおける瞑想の種類

ヨガには、静的な瞑想と動的な瞑想の2種類あり、それぞれの効果が異なります。

どちらか一方を行えばよいというわけではなく、どちらの瞑想も行う必要があります。

静的な瞑想

静的な瞑想とは、自分の内側に働きかけ自分自身の感情をコントロールすることをいいます。静かに目を閉じて、自分の内側に目を向けます。バラバラでまとまりのない心と体をひとつにし、自分が心地よいと感じる状態へと持っていくのです。

動的な瞑想(アクティブ・メディテーション)

一方で、動的な瞑想とは、自分の行動そのものを変えていくことをいいます。

静かに自分の内側に働きかけるのではなく、体を動かしながら瞑想を行うのです。今までの態度や行動そのものを変えていく瞑想方法です。

ヨガだけに留まらず、動的瞑想になり得るものは他にも沢山あります。

・お料理、お皿洗い、掃除などの家事
・編み物、塗り絵、絵画などの趣味
・武道、気功、ランニング、ウォーキングなどのスポーツ

ここからは、動的瞑想になる「ウォーキング」に焦点を当ててみましょう。

日常生活において、歩行時間は必ずあるかと思います。毎日無意識に歩いている動作のひとつひとつに意識を向けてみるのです。

たとえば、通勤・通学や散歩などで歩いている間、足裏の感覚に注意を向けてみます。つま先、足の指の1本1本や踵が、地面に触れたときに生じる感覚を隅々まで意識して歩きます。なにか考え事が出てきて集中が途切れたとしても、それに気づき、否定的に受け止めないことが大切です。

雑念が湧いてきたことを受け入れ、また淡々と足の感覚に意識を戻します。

ウォーキングに限っての話ではなく、ひとりで何かに集中できていれば、それは瞑想に繋がっているのではないでしょうか。心地よい疲れと共に、なんとなくスッキリしている自分の心と体を感じられるかもしれません。

ヨガの瞑想の効果

ヨガの瞑想を行うことで得られるメリットを3つご紹介します。

リラックス効果

ヨガの瞑想によって自律神経のバランスが整うため、リラックス効果が得られます。深く落ち着いて行う腹式呼吸が副交感神経を優位にするからです。安心感を得られ、深い眠りにつくことができます。

寝つきが悪く、眠れないからといってついついスマートフォンを見てしまい、徐々に目が覚めて気が付いたら夜中の2時3時だった…という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。睡眠の質を高めたいと考えている方は、お布団に横になった時に目を閉じてゆっくりと腹式呼吸をしてみましょう。

たとえ短時間であったとしても、質の良い睡眠が取れていると、良い1日のスタートを切れるのではないでしょうか。

不安やストレス軽減

ヨガの瞑想を行うと、不安やストレスの軽減が期待できます。これは、副交感神経が優位になりリラックスできるため、心と体の緊張や凝りがほぐれていくことも関係しています。

また、私たちは過去に起きたことを後悔したり、まだ見ぬ未来を想像し不安になって悩んだりと、「今この瞬間」に集中できずに様々なストレスに苛まれてしまいがちです。

ヨガの瞑想を行い、自分を見つめる力がついてくると、これから起こるストレスに耐性もつきます。また、ストレスを良い方に捉えて、上手に転換できるようになり、前向きに行動ができるようになるでしょう。

集中力の向上

ヨガの瞑想を行うと、集中力の向上が期待できます。余計なことを考えたり、考えを巡らせたりせず、自分自身の意識に集中することにより、頭の中でオンオフを上手に切り替えられるようになります。

例えば仕事中、他の物事に注意が逸れたと”気が付き”、またやるべき仕事に”注意を戻す”というように、注意をコントロールする力を養い育てることによって集中力が向上するのです。

集中力の向上により、記憶力の向上や効率よく仕事を進められるなどの効果も期待できるでしょう。

ヨガの瞑想を行う際のポイント

ヨガの瞑想を行う際のポイントを3つご紹介します。

① 姿勢

ヨガといえば、背筋をピンと伸ばした美しい姿勢をイメージするという方もいらっしゃるのではないでしょうか。正しい姿勢かどうかで、ヨガの瞑想の効果は大きく変わってきます。

姿勢のポイントは3つあります。

・背骨がS字カーブを描くように整える
・姿勢を安定させる
・目線を正面に固定する

② 環境

ヨガの瞑想を行う際、環境を整えることも大切です。頭の中を整える前に、身の回りの整理整頓をすることから始めます。

静かで集中できる場所で行いたいところですが、さまざまな事情で難しいという方もいるかと思います。可能な限りで良いので、気が散ってしまうものが視界に入らないように環境を整えましょう。

また、アロマオイルやキャンドルなど、落ち着きを得られるお気に入りの香りにサポートしてもらうのもいいでしょう。また、なにか音が欲しい場合には、波の音やアコースティックギターなどのBGMをかけるのもおすすめです。

他にもポイントがあるのでご紹介します。

・暑すぎたり寒すぎたりしない自分にとって適温であると感じられる場所
(体温調整にストレスを感じていては集中できないため、服装にも気を配りましょう。)
・自宅や自分の部屋など安心できる場所

反対に、家だと集中できないという方は、あまりひとが居ない時間帯を狙って早朝の海辺や公園などはいかがでしょうか。

③ 呼吸

ヨガの瞑想と呼吸は、極めて深い関係にあります。

理由は、副交感神経が優位になる腹式呼吸で行う必要があるからです。

【腹式呼吸の方法】

1. 背筋をピンと伸ばし、鼻からゆっくりと息を吸い込む。
2. 息を吸い込む際、お臍の下に空気を取り込むイメージでお腹を膨らませる。
3. 吸い込んだ時間の倍の時間をかけ、ゆっくりと口から息を吐き出す。
4. からだの中にある悪いものを出し切るイメージで息を吐ききる。

心と体をリラックスさせるために、腹式呼吸は必要不可欠です。

最初は難しいかもしれませんが、回数を重ねるうちに上手に腹式呼吸ができるようになるでしょう。

ヨガの瞑想の実践方法

ここからはヨガの瞑想の実践方法を解説します。

基本の座り方

【座位】

1. あぐらの姿勢になり、かかとを体の中心におきます。
2. 両手を前につきお尻を上げて、両膝を床につけます。
3. お尻を置きなおしましょう。できるだけ広い範囲で座ると安定した姿勢をとることができます。

呼吸方法

呼吸方法は、鼻から吸って鼻から吐くのが基本ですが、苦しい場合は口から出しても大丈夫です。自分が心地よいと感じる状態で呼吸することが何よりも大切です。

瞳を閉じて呼吸を繰り返し集中します。長さも自分がいちばん心地よいと感じる長さで行います。

だんだんと心が落ち着き、自分のからだを感じられるようになったら、自分の内側に感覚を向けられている証拠です。

瞑想方法

ここでは「慈悲の瞑想」をご紹介します。自分や他者を思い浮かべながら、慈悲の言葉を唱える瞑想方法です。

1. ゆったりとくつろいだ姿勢になりましょう。座っていても寝転がっていても問題ありません。
2. 姿勢が落ち着いたところで、そっと目を閉じましょう。
3. 鼻で吸い込んで鼻で吐く、自分の呼吸に集中します。
4. 目の前に、自分自身や、あなたにとって大切なひとが座っていると想像しながら、以下のような言葉をかけてあげましょう。

【自分自身に向けて】

「わたしが幸せでありますように」
「わたしが怒りや憎しみの感情から自由になれますように」
「わたしが愛や慈しみの気持ちで満たされますように」

【あなたにとって大切なひとたちに向けて】

「わたしの大切なひとたちが幸せでありますように」
「わたしの大切なひとたちが怒りや憎しみの感情から自由になれますように」
「わたしの大切なひとたちが愛や慈しみの気持ちで満たされますように」

【世界中のすべてのひとたちに向けて】

「世界中のすべてのひとたちが幸せでありますように」
「世界中のすべてのひとたちが怒りや憎しみの感情から自由になれますように」
「世界中のすべてのひとたちが愛や慈しみの気持ちで満たされますように」

最後には、世界中のすべての人たちに向かって言葉をかけます。

瞑想ヨガを実践するにあたっての注意点

瞑想中に、さまざまな思考や感情が浮かんでくるでしょう。しかし、これは当然のことで悪いことではないのです。

瞑想ヨガを行うにあたっての注意点を3つご紹介します。

・集中できないからといって自分を責めない
・何が何でも集中しなければいけないと義務を感じない
・浮かんでくる思考や感情に執着しない

瞑想ヨガの実践中に、さまざまな思考や感情が浮かんできたときは、「今、わたしはこんなことを考えた」と認識することが大切です。不必要な思考や感情であるのならば、一旦手放してしまいましょう。

手放すことに慣れていくと、日々の暮らしの中でもその瞬間に必要なことだけを考えられるようになり、普段から穏やかな状態でいられたり仕事のパフォーマンスが向上したりというような効果が期待できます。

ヨガの瞑想は自分自身を見つめなおす手段である

今回は、ヨガと瞑想の関係、効果や実践方法についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。

ヨガの瞑想を行うことで、睡眠の質を向上したり、不安・ストレスを軽減したり、集中力が向上できたりという効果が期待できることが分かりました。

また、自分の内側に働きかける静的瞑想と、体を動かしながら行う動的瞑想をご紹介しました。

・お料理、お皿洗い、掃除などの家事
・編み物、塗り絵、絵画などの趣味
・武道、気功、ランニング、ウォーキングなどのスポーツ

生活の一部である家事や趣味を行う際に、無意識に行うのではなくひとつひとつの作業に意識を集中して行うことで、瞑想に繋げられます。忙しくて瞑想する時間がないという方には、おすすめの瞑想方法であるかもしれません。

毎日の暮らしをより良いものに変えていくためのツールとして、少しずつヨガの瞑想を取り入れてみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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