日常を離れて、リトリートで整う時間を
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リトリートとマインドフルネス
ストレス社会といわれている現代、仕事、生活や家庭の悩みなどさまざまな原因があります。加えて、スマホがあればいつでもどこにいても新しい情報が入ってくるため、私たちの頭の中は考え事や情報で常に溢れかえっています。
ゆっくりと深呼吸する時間もないくらい忙しい毎日、休日はあるけれど、心と体の疲れがしっかり取れないというひとも多いのではないでしょうか。
あえて時間を作って、非日常の空間に身を置くことで心と体をリフレッシュしたり、再構築したりできる「リトリート」には、マインドフルネスの要素があります。温泉リトリートや食事リトリートなど種類も豊富です。
今回は、リトリートとマインドフルネスについてご紹介したいと思います。
リトリートとは
日常生活から離れて、自然が豊かな環境や自分が落ちつける場所などで、疲れた心と体をゆっくりと癒す、「本来の自分に戻るための時間」を過ごすことをリトリートといいます。
「retreat (リトリート)」は、直訳すると「退却、後退、静養先、隠れ家、避難所」などの意味を持っていますが、「日常生活から離れてリフレッシュする時間を持ち、心身ともにリセットする」という意味で使われています。
静かに自分と向き合う時間を作ることで、自分にとって何が大切で、何を大切にしていきたいのかなど、認識できていなかった客観的な事実に気づくことができます。
「心と体をリラックスさせる」という目的を持って、家庭や仕事などから少しだけ離れてみるという選択をし、静かな環境に身を置くことで、五感や感性が研ぎ澄まされるのです。
仏教におけるリトリートの考え方
仏教においても、日常の生活から離れて遠くに籠もり内省することが重要視されてきました。とくに禅宗の接心(せっしん)は、攝(摂)心とも書き、一定の期間坐禅を行い精神を集中させ、散乱する心を1つにすることを意味する、リトリートに近い考え方があります。
下界とのコミュニケーションをすべて断ち、無意識に持っている思い込みや執着などを一度捨て去り、「今、この瞬間」に意識を集中することでありのままの自分に気づき、ととのえるのです。
禅宗とは
禅宗とは、6世紀前半に達磨大師が中国へ伝え発展した大乗仏教の一派で、日本では臨済宗・曹洞宗・黄檗宗(おうばくしゅう)をまとめた呼び名です。
「坐禅を中心とした修行によって心の本性が明らかにされ悟りが得られる」とされています。禅を通じて心の中で悟りを理解することを重んじており、生まれながらにして持つ「本来の自分」に戻ることを目的としています。
「今、この瞬間」を意識するマインドフルネス
「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態でただ観ること」これは、マインドフルネスの定義とされています。
「今、この瞬間」目の前の物事に対して何も考えずに集中している状態です。
過去に起きたことや、まだ見ぬ未来を想像して不安になって悩んだりと、「今、この瞬間」に集中できずに様々なストレスに苛まれる人は大変多いです。マインドフルネスを継続して行うと、「考えても仕方のないこと」から自分を解き放つことができます。
どんな時でも何があっても揺れ動かない強い心を保てるようになるのです。
また、自己認識力が向上する効果もあります。
自分の思考や感情を客観的に捉えられるようになるため、腹が立ったり不快に感じる出来事があったりしても、常に安定した感情を持って日々の暮らしが送れるようになるのです。
先にご紹介した仏教におけるリトリートの考え方も、マインドフルネスに通じています。
リトリートで得られるメリット
日常生活から離れて、自然豊かな場所で心と体をリフレッシュできるリトリートで得られるメリットを見ていきたいと思います。
忙しい毎日を忘れてリフレッシュできる
リトリートで得られるメリットとして、忙しい毎日を忘れてリフレッシュできる点が挙げられます。自宅や通勤・通学路などいつもと変わらない風景や環境では、心からリラックスするのはなかなか難しいものです。
日常から離れ自然豊かな場所で、木や花の香り、風の音や鳥のさえずりなどの自然が奏でる音に意識を向けることで、心と体はリフレッシュします。
自分を見つめ直すことができる
リトリートで得られるメリットとして、自分を見つめ直すことができる点が挙げられます。
自然の中に身を置き、時間がゆっくりと流れるなかで、自分自身を客観的に捉えられるようになるのです。
自分が何を考え、悩み、これからどうしていきたいのかを落ち着いて考えられるため、問題解決への糸口が見つかることもあります。
自分を見つめ直す過程で、自分の弱い部分や短所などに気づかされることもあるかもしれませんが、それもすべてあるがままに受け止めることが大切です。自分自身の性格、能力、思考パターンや感情などが明確になり、それを理解する能力の向上にも繋がります。
リトリートの楽しみ方
ここからは、具体的なリトリートの楽しみ方をご紹介します。
1. 森林浴
まず、リトリートには森林浴で楽しむ方法があります。森林浴のメリットには、ストレスホルモンの低下や、副交感神経が活発になるなどと科学的にも証明されています。
森林の香り、音や、木々の色などを五感で感じることによって、脳や神経などがリラックス状態になり、緊張が解き放たれるのです。
他にも、マインドフルネスに森林浴をするメリットは以下のように多数あります。
・疲労回復
・自律神経の安定
・睡眠の質の向上
・免疫力の向上など
森林浴のメリットを知ると、入浴剤に森林の香りがあることも納得してしまいますね。
森の中でマインドフルネスに散策したり、写真を撮ったり、木のそばに腰かけてみたりと、気の向くままに過ごしてみましょう。
2. 温泉
「リトリート 温泉」で調べてみると、リトリートホテルや温泉ランキングなど多数の記事がでてくることから注目度が高いことが分かります。
休日には、少し遠いところにある温泉に行くのが趣味だという方もいるでしょう。
温泉がある場所は自然に囲まれていることも多く、露天風呂で季節ごとに楽しめる風景や、旬のお食事など、日常生活では味わえない醍醐味にも出会えます。
温泉での疲労回復、血行促進も加えて、心も体も満たされるでしょう。
3. やさしい断食
やさしい断食は、本来の心と体のリズムを取り戻すための有効な方法です。
現代人は食べ過ぎの状態にあるといわれています。小腹が空いたから、口寂しいからなどの理由で、お菓子に手を出してしまう方も多いのではないでしょうか。
日々の暮らしで、適切にお腹が空いている時間を設けることで、以下のような様々な健康効果があります。
・空腹時に運動することで効果的にダイエットできる
・空腹状態で活性化する長寿遺伝子の働きで、アンチエイジング効果が期待できる
・細胞内の不要な物質を分解してリサイクルする仕組みであるオートファジーによって、生活習慣病の予防や免疫向上に役立てられる
・腸内環境が整うことで、消化吸収や排泄がスムーズになり、肌荒れが改善され美肌になるなど
嬉しい効果がたくさん得られるやさしい断食リトリートは、お寺や宿など様々なところで行われています。
また、やさしい断食が難しいという方には、毎日の食事をマインドフルネスに食べる方法もあります。食事に集中し、何を食べているのか、香りはどうかなど、食べ物ひとつひとつに真摯に向き合ってみましょう。
自宅でできるリトリートもある
リトリートは、家事や仕事などの日常生活から完全に切り離せる非日常の空間であることが理想ではありますが、家を数日開けるなんて困難だという方も多いと思います。
遠くへ行かなくても、自宅で気軽にできる心と体を癒せるリトリートもご紹介します。
早朝の静寂な時間を満喫する
いつもより少しだけ早く起きて、朝一番の静寂に包まれてみませんか。まだ車やバイクの走行音がまばらで、ご近所からの生活音も聞こえない静まり返った時間帯。
窓を開けて空気を入れ替え、空を見上げて胸いっぱいに深呼吸します。季節によっては、まだ暗かったり、美しい朝焼けと出会えたりすることもあるでしょう。早く起きたからこそ、見れる景色、聞こえてくる音に耳を傾けながら、穏やかな気持ちで1日をスタートできるのではないでしょうか。
お香を焚く
気分をリフレッシュしたい時、お香を焚くのも1つの方法です。お香の香りには、交感神経活動を鎮静化させる働きがあるため、副交感神経が優位になりリラックス効果が期待できるとされています。
また、お香の煙が揺らめく様子は不思議と目が離せなくなります。煙がスーッと真上に立ち上ることもあれば、ゆらゆらと、ときにはふわふわと、常に同じ動きではありません。集中して観察していると、心が落ち着き、深い癒しをもたらします。
また、火を使うのは心配だという方は、香料を袋に詰めた「匂い袋」や、木箱や陶器などに入った「置き香」などもあります。
デジタルデトックス
今やスマホが手元にないと落ち着かないという人はとても多いのではないでしょうか。少しだけニュースやSNSをチェックするつもりが、気が付けば1時間以上経過していたという経験もあると思います。
気になることや、分からないことがあればすぐに検索できる便利なスマホやパソコンから離れる時間を作ってみませんか。例えば、夜22時以降はスマホを使わないと決めて自らコントロールをしてみるのです。
デジタルデトックスを行うと、情報が入ってこなくなるため、脳を休息させられます。脳が休息することで脳疲労が回復し、心と体のストレスや疲労を軽減する効果が期待されます。
リトリートでマインドフルネスに心と体をととのえよう
今回は、リトリートとマインドフルネスについてご紹介しました。
自然が豊かな場所にあえて身を置き、心と体をリフレッシュするリトリートですが、家を空けることができない方も多いと思います。そのような時には、自宅でリトリートしてみませんか。
私たちは、毎日多くのストレスにさらされています。家族のこと、仕事のこと、様々な人間関係のこと。知らないうちに溜め込んでしまったストレスが溢れ出る前に、まずは自分が自分の状態に気づいてあげることが大切です。
マインドフルネスなリトリートで、自分の心と体の声に耳を傾けましょう。「少し日常から離れたいな」「ひとりの時間が欲しい」と感じている時は、その声に従ってみませんか。
リトリートは、本来の自分に戻るための大切な時間です。
「今、この瞬間」目の前の物事に意識を集中させるマインドフルネスなリトリートで、心と体をととのえながら、上手にストレスと付き合って、よりよい暮らしを送っていきたいですね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。