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瞑想とマインドフルネス

サウナと瞑想で深くととのう

瞑想とサウナは好相性!?自己に向き合うのに最適

「瞑想になかなか集中できない」「気が散った瞬間についスマホに手が伸びる」などといった悩みはありませんか。このような悩みを抱えている方におすすめしたいのがサウナです。

近年、サウナは20〜30代の若者を中心に人気が急激に広まり、ひとつのカルチャーとして定着しつつあるといいます。

実は、サウナと瞑想は共通点も多く、素晴らしい相乗効果を発揮するのです。

今回は、瞑想とサウナの関係や、サウナ瞑想の方法などをご紹介します。

日本におけるサウナブーム

なぜ、サウナは衰退することなく私たちの心を掴み続けるのでしょうか。

日本でのサウナブームは、これまでに3度訪れています。

まずは、1964年の東京オリンピックで、フィンランドの選手団が選手村にサウナを持ち込んだことがきっかけで注目を集めました。1990年代、スーパー銭湯や健康ランドなどにサウナが併設され人気を集めます。

2010年代後半には、サウナのエッセイやドラマなどがきっかけとなり第3次ブームに突入しています。

サウナ人気が再燃しているのは、クローズドコミュニティ(価値観の近いユーザーが集まる空間)を楽しむ若者文化とマッチしていたり、コロナ禍で高まった健康意識とサウナの相性が抜群であったことなどが理由としてあるようです。

サウナの「ととのう」

ここからは、「ととのう」の解説と併せてサウナの効果をご紹介します。

【ととのう】

サウナの醍醐味でもある「ととのう」。

プロサウナーの濡れ頭巾ちゃんという方が、この言葉の生みの親とされています。

2019年ごろから、頻繁にインターネットで検索されている「ととのう」という言葉。

この言葉が広まったのは、タナカカツキ先生の漫画「サ道」で使われたこと、そして「サ道」がドラマ化されたことがきっかけです。

ここで、なぜ「整う」ではなく「ととのう」と平仮名で表記されているのか気になった方もいらっしゃるかもしれません。「ととのう」には、「整う」と「調う」の2つの意味を持ち合わせているからだそうです。

【整】

そろえる意の語源(斉)からきている。きちんと整列させる意。
ととのえる、物事が乱れないように正しくそろえる、きっちり、ちょうど、など。
『乱れたもの、まがったもの、くずれたものを正しくする。きちんとする。』という意味で使われる。

【調】

和合の意の語源(合)からきている。口をきいて和合させる意。
ととのう・ととのえる、あう・あわせる、そろう、ならす、しらべる、など。
『何かをするため、始めるための必要なもの(条件、状態をそろえる。)』
『物事がまとまる。成立する。』という意味で使われる。

【ととのうメカニズム】

高温→水風呂→外気に当たる(外気浴)のサイクルを経て得られる多幸感を「ととのう」というそうです。実際にサウナで「ととのう」を感じたことはありませんが、調べてみると大変興味深く感じられましたので詳しく解説します。

私たちの体は、熱にさらされると心拍数が上昇し血流が早くなります。高温のサウナに入った場合、中程度の運動と同等の心拍数である毎分約120回まで上昇するそうです。

このとき体の中では、発汗作用によって老廃物が排出され新陳代謝が促進されます。

また、水風呂に入った瞬間、温から冷への急激な環境の変化によって交感神経が優位になり興奮状態に。その後、水風呂で収縮していた血管が、外気浴によって急に広がり血流が良くなると副交感神経が優位になりリラックス状態になるそうです。

一方で、血中にはまだ交感神経に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが巡っているため、頭は冴えている状態にあります。

両者が混在することにより起こる現象が「ととのう」です。

交感神経と副交感神経が交互に優位になることで、自律神経のバランスがととのっていくのです。

【リラックス効果による脳疲労の軽減】

サウナで得られるものの1つ目は、脳疲労の軽減です。

「休みなのに疲れが取れない」このような悩みを抱えている方は少なくありません。

私たちの脳は、ボーっとしている時でも、およそ70〜80%ものエネルギーを消費しているそうです。これは、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という、ぼんやりした状態で脳が行っている神経活動を指します。

DMNが「オン」の状態にあると、アイデアが生まれやすかったり、脳内の情報が整理されたりなどのメリットがありますが、考えすぎによる脳疲労のデメリットもあるのです。

それが、高温のサウナに入ると、あまりの熱さに思考を停止しなくてはいけなくなるほど体が危険な状態になります。思考が強制的にシャットダウンされることで、脳のエネルギー消費量が軽減、リラックス状態になると考えられています。

【よく眠れる】

2つ目は、サウナに入ることで睡眠の質が向上してよく眠れるという効果です。

睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠が交互にやってきますが、このうちノンレム睡眠が取れていないと、疲れが取れないのはもちろん、集中力の低下、物忘れや憂うつなどを引き起こすといわれています。

サウナは、このノンレム睡眠を誘発すると明らかになっているそうです。サウナ→水風呂→外気浴でクールダウンのサイクルを就寝時間の2〜3時間前に行うことで、入眠しやすくなるといいます。

瞑想とは

瞑想とは、「心を静めて無心になること、何も考えずにリラックスすること、心を静めて神に祈ったり、何かに心を集中させること、目を閉じて深く静かに思いを巡らせること」です。

余計な思考を排除し、ありのままの自分の心と体に意識を向けられるようになるための手段でもあります。瞑想で得られる主な効果には、ストレスの緩和、集中力・注意力の向上や感情をコントロールできるようになるなどが挙げられます。

瞑想をすると、自律神経がととのうとされています。これは、サウナで得られる効果と共通しています。

実際に、サウナ愛好家であるサウナーの皆さんは、高温のもとで黙々とサウナに入ることで自信の内面に向き合うとされ、座禅や瞑想にも通じるマインドフルネスを体験することができるとの声もあるそうです。

瞑想が自律神経をととのえる理由は呼吸にあり

瞑想で大切なのは呼吸です。この呼吸は、自律神経と非常に大きく関わっています。呼吸が浅く短い状態であると、交感神経が優位に働きます。

体は緊張し、横隔膜の働きが鈍くなり、1度の換気量が腹式呼吸の約半分ほどに減ってしまうため、息苦しくなってしまうのです。これにより、脳に酸素が行きわたらず、集中力が低下したり自律神経に悪影響を及ぼします。

呼吸瞑想では、呼吸に意識を向けているうちに自然と深く落ち着いた呼吸になっていきます。深く落ち着いた呼吸は、副交感神経を優位に働かせるため、自律神経をととのえ、心も体もリラックスさせることができます。

サウナ瞑想の手順

ここからは、サウナ瞑想のやり方をご紹介します。

1.座って姿勢を整える

他の方とある程度距離が取れて落ち着く場所に座ります。

座ったら背筋をピンと伸ばし、重心が真っすぐに座骨に落ちるイメージで安定した姿勢を保つことがポイントです。膝を軽く開き、可能でしたら足の裏はぴったりと床につけましょう。

両方の耳、肩と腰骨が垂直になり、鼻の下にお臍がある状態が真っすぐな姿勢です。この時、反り腰にならないように注意します。

体をゆっくりと左右に揺らしながら、左右均等に体重をかけるイメージで、揺れを徐々に小さくしていきましょう。目は開けたままでも、閉じていても構いません。

2.自分の呼吸にしっかりと意識を置く(呼吸瞑想)

腕や肩を脱力し、無理のない姿勢で楽にして呼吸を整えましょう。ここで最も大切にしてほしいのは、呼吸をコントロールしないことです。

サウナの熱い空気が、鼻から入って器官を通り、肺に送られていくイメージを持ってみましょう。また、呼吸と一緒にお腹が膨らみ縮んだり、肩がゆっくりと上下したりする体の変化をただひたすらに感じます。

「今、息を吸っている」「今、息を吐いている」などという感覚をとらえてみましょう。

3.感情や思考が浮かんできても、追いかけずに呼吸に戻る

呼吸を続けているうちに、体の芯からポカポカと温まってきます。それだけではなく「暑い」「もう出たい」などと考え始め、注意力も散漫になってくるでしょう。

まずは、「自分の思考はあちらこちらに動き続けるものだ」と、自分自身で気が付くことがとても大切です。

雑念が出てきても「今、私は早く水風呂に入りたいと思っている」といった自分の感情や思考に客観的な目線で気付き、また淡々と呼吸瞑想に戻る、これの繰り返しです。

集中できていない自分を責めず、浮かんできた思考を追いかけないことがポイントです。

サウナによる体の変化や感覚に意識を向けましょう。

安全にサウナを楽しむための注意点

サウナは、体温を急激に変化させる活動であるため、健康な方でも注意が必要です。

下記の症状や体の状態などに当てはまる方は、主治医の指示を仰ぐようにしてくださいね。

・高血圧の方
・心血管疾患の患者さん
・高齢の方
・妊娠中の方
・炎症、皮膚感染症や発熱など健康状態に問題を抱えている方

なお、健康な方であっても飲酒後、睡眠不足や過労など体調が良くないときには利用は避けた方がいいようです。

① 苦しくなった来たら我慢せずに無理のない範囲で外に出ましょう。
② 水風呂に入る前は、かけ湯を行いましょう。血管の収縮により血圧が上昇、心臓に負担がかかり心筋梗塞や脳卒中の危険を伴います。半身浴やシャワーの利用もおすすめです。
③ 休憩時間は、脈拍が落ち着くまでしっかり取りましょう。
④ 脱水症状にならないために水分補給をしっかり行いましょう。

サウナと瞑想の組み合わせで深い「ととのい」を

サウナの「ととのう」には、脳疲労の軽減、睡眠の質の向上、そして自律神経を安定したバランスにととのえるという大きな効果があります。高温→水風呂→外気に当たる(外気浴)のサイクルで、交感神経と副交感神経が交互に優位になり、自律神経をととのえてくれます。

瞑想においても呼吸に意識を集中して観察することにより、自然と穏やかで深い呼吸になっていきます。深い呼吸は、副交感神経を優位にしリラックスした状態へ導いてくれるのです。共通点のあるサウナと瞑想を組み合わせることで、さらに深い「ととのい」を得られる効果も期待できるのではないでしょうか。

サウナに行く習慣があるという方は、瞑想も習慣にできるということです。もちろん、サウナに行かずとも瞑想はできます。サウナに行くのは気が引ける、という方は、ひとりになれる静かな場所で、呼吸瞑想を行ってみませんか。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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